インストラクターブログ

加速器

こんにちは、学生スタッフの I.K です。私は2月に修論発表会を終え、残るは卒業式のみとなりました。私はなるほど館の最後の仕事として11月から卒業展示の制作を行ってきました。今回はその紹介をさせていただきます。

私は「磁場により加速させる装置(加速器)」の展示を考えました。写真1の装置はタイミング良く、コイルから磁場を発生させ鉄球を加速させるものです。中学生で習う「磁力」の知識で理解できるものになっています。ぜひ実物をみて「磁力」を体感していただきたいです。 また、この加速器とは異なる原理で加速させる装置も多く存在します。今回の展示ではより高度な加速器の紹介も行っています。具体的にはシンクロトロン加速器(写真2)を紹介しています。この加速器では陽子や電子などの電荷を持った粒子を加速します。仕組みとしては、写真2にあるように、まずその一部の加速空洞という部分で、電場によって粒子を加速させます。そして電磁石から生じる磁力を用いて粒子の軌道を曲げ、再び加速空洞に通して加速させます。以上のプロセスを何度も繰り返して、粒子を光の速さ程度まで加速させていきます。

今回の展示では、世界最大のシンクロトロン加速器であるLHC(Large Hadron Collider)の紹介も行っています。この加速器は山手線1周分の長さもある巨大な加速器です。ここでは陽子を光速の99.999999%まで加速し衝突させることで、たくさんの素粒子(それ以上分割できない最小の物体、つまりこの世界で一番小さな物体)を作り出しています。LHCでは生じた素粒子を測定することでその性質解明に貢献しています。新たな素粒子の性質を見つけることができれば、「宇宙は何からできているのか」、「宇宙の始まりはどうなっているのか」といった誰もが1度は考えたことがあるような疑問により明確な答えを与えることができます。

ぜひ色々な方にお越しいただき、加速器や素粒子の魅力を感じていただけたらと思います。

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図1 磁場により加速させる装置(加速器)

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図2 シンクロトロン加速器(KEKより引用)