インストラクターブログ

解決済みゲーム

こんにちは。学生スタッフのA.S.です。さっそくですが皆さんは「解決済みゲーム」を聞いたことはありますか?聞いたことがない方も多いかと思います。では3×3 の〇×ゲームを想像してみてください。お互いに最善手を打ったらどうなるでしょうか?多くの方が経験から引き分けになると考えるでしょう。実は引き分けになることが数学的に証明されているのです。このようにボードゲーム(厳密には二人零和有限確定完全情報ゲーム)において最善の手を打ち続けた結果が判明したものを「解決済みゲーム*1」と言います。噛み砕くと、1vs1でいつかは勝ち負けが決まり、運要素がなく全ての情報がオープンなゲームのことです。

さて前置きが長くなりましたが、私が今回書くに至った理由としては、10月末にオセロが「解決済みゲーム」になったというニュースを耳にしたからです。”Othello is Solved”が 話題となった論文*2です。ただしこの論文は査読を受けていません。つまり世界からはまだ正式に認められていないということです。専門知識をまだ持ち合わせていないので誤った情報を伝えてしまうことを避けるために論文の詳細について言及しません。ですが私個人としてはプログラミングの知識があれば、より理解を進められたと考えているので悔しいです。なお棋譜の再現をしたところ、意図の分からない手の連続でした。いわゆる結果が分かっている神々のオセロですので、「そこに打つといずれ不利になるから仕方なくここに打とう」という気持ちなのでしょう。棋譜は論文の冒頭にあります。またこの論文は計14 ページで気軽に読めるので気になる方は下記の URLより是非ご覧ください!

最後に、東京理科大学には「囲碁で養うコミュニケーション力」という囲碁に関する講義があります。本当です笑。私もこの講義を通して個人的に先行研究を調べたことがきっかけで、二人零和有限確定ゲームやら解決済みゲームやらといった言葉に出会いました。円周率を求めるモンテカルロ法とも結びつきがあり興奮したことを覚えています。実際に囲碁をやってみると感覚的に最善手を導き出しにくいことが分かると思います。

最後の最後に、解決済みゲームと分かったからといってそのボードゲームがつまらなくなることはありません。不完全な人間がやるからこそボードゲームは面白いのだと私は信じています。

*1解決には種類がある。詳しくは後日に「解決済みゲーム(番外編)」にて書く予定

*2 “Othello is Solved”
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神々のオセロの再現