資料館スタッフブログ

小倉先生

こんにちは。理学部第二部数学科のK.Y.です。4月の忙しさから解放され、疲れや環境の変化から心身に支障を来すことを俗に5月病と言いますが、皆様は如何でしたでしょうか。僕は5月に入ってから風邪を引いてしまい、体調管理の大切さが身に沁みています。

僕は今、来月から開かれる企画展に向けて、小倉金之助先生の著書について纏めています。小倉先生は数学教育と科学史で優れた実績を残された人物で、理科大の先輩に当たります。小倉先生の著書に触れる中で、身近な経験から法則性を見つけ出して理論を構築すべきだと思いました。数学だけの閉じきった世界での記号操作を覚えるのではなく、肌感覚から徐々に抽象的な議論を導くような思考力の養成が重要だと小倉先生は考えられていました。

小倉先生の本を読む中で、自分の数学の勉強は地に足の着いたものだろうかと疑問に思いました。この定義はどんな動機から生まれたのだろうかと常々考えながら数学を勉強していましたが、その考え方に深みが増したように思います。それでも自分なりに納得できずに先に勉強を進めてしまうこともあります。答えを出すためだけの勉強をしてしまっているときに小倉先生を思い出します。

book
「一數學者の記録」小倉金之助 著