資料館スタッフブログ

企画展と僕

こんにちは。I.Y.です。  企画展「『坊っちゃん』とその時代」が始まってから一週間が経ちました。自分が担当した以外の展示物もやっと把握が済みましたが(各スタッフが各々の展示物を製作しており、その内容を他のスタッフは直前まで知らなかったりします)、その解説内容はまだまだ改善の余地ありといったところです

今回の企画展で僕は、『三四郎』に登場する光圧の測定とそのシーンの元となった寺田寅彦が漱石にみせたシュリーレン実験のコーナーを担当しました。この展示の準備をしている時に「企画を自分のものにする」ことについて、考えを巡らせていました         

僕は理系な人間で、ここは計算機の博物館です。しかし今回与えられたテーマは『夏目漱石』という明治時代の文豪についてです。最初は本当に戸惑いました。このテーマで僕は何を語れるか全く思いつかなかったからです。明治時代と言われても時代背景は大して思い浮かびませんし、そもそも中学の時に読んだ『こころ』は残念なことにちっとも感動しなかった覚えがあります。でも企画展が始まってみると、僕は一部屋分の展示物を作り上げ、自分にしか解説できないものを持つことができました。他の展示物も、オリジナルな解説が順にできていきました。確かに思いつく解説はどれも漱石の作品にあるような文学的な内容の考慮こそ含んではいなかったのですが、僕にしかできないもので間違いはありませんでした。

自分にとって得意で専門としている分野以外のことはたくさんありますが、それを人に語るにはどうしたらよいのか。「解説者」としてのプロセスやノウハウが多少は持てているのかもしれないと感じました。これは僕が人と関わっていくうえで重要なツールに成りえるでしょうから、とても嬉しくも思いました。まだまだ磨いていきたいです。

tirashis

企画展室とI.Y.