資料館スタッフブログ

微分解析機~一年の軌跡~

気づいたら7月中旬になっていました。時間の流れは早いものですね~。近代科学資料館のスタッフになってから三か月が経ち、少しずつ業務に慣れてきたY.Yです。

さて、只今開催されている企画展「計算する器械たち~アナログコンピューター展~」は開催初日から、約一か月が経った今でも見学者の数が減ることはありません。中でも微分解析機の実演は、中学生から大学の教授まで、遠くから足を運んで下さる方が多く絶大な人気を誇っています。

そんな微分解析機は平成5年頃から常設されており、ずっと展示用にニスが塗られていたりプラスチックのフタがついていたりと動かせる状態ではありませんでした。そこで2013年の4月から当時の状態に再生させる微分解析機再生プロジェクトが始まりました。状態調査、CAD製図、分解、ラッカーはがし、増幅機修理、組み立て、調整などの作業をするのに一年間かかりました。現在、微分解析機を動かして計算させると、わずかにズレが生じているもののほぼ正確に計算できるまで再生しました。

私自身も今年からこのプロジェクトに携わりましたが、みんなで微分解析機の周りで作業を行う風景は、約70年前に微分解析機が作られた時と同じ風景だったかもしれないと思うことがよくありました。先人の意志を受け継いだからこそ感じたことなのかもしれません。

修理風景1
CAD製図のための計測


修理風景2
ガスマスクを装着しラッカーを
有機溶剤で溶かす作業