これからの教養のために
社会の一員として活躍できることを願って
2021年度に、教養の普遍的な価値を再認識しつつ時代に応じたこれからの教養のために、4つのキャンパスに所属する100名近くの教養の授業を担当する教員が一つになって教育と研究そして地域貢献の任に当たる教養教育研究院が設立されました。
複雑化・多様化し、グローバル化した現代社会に適切に対応できる人物を輩出するという本学の使命をまっとうするために、科学と技術の総合大学としての特徴をさらに強化することが必要です。そこで本学では2017年に「建学の精神に基づく理念・目的・目標・方針」において、専門教育と教養教育とを教育の二本柱として並列に扱うこととし、教育目標の達成のため「専門教育と互いに補完し合いながら、体系的、段階的に行う」(本学『教養教育の目標』より)「TUSくさび形教養教育」を2022年度より推進しております。
実力主義を掲げる本学が送り出す卒業生・修了生には、単に専門知識・技術を有するだけではなく、世界を、歴史・文化を、あるいは人間そのものをよく知ることによって、市民として人間として自分の持つ知識や技術を活かしつつ社会の一員として活躍できることを願っています。本学では入学してきた学生がそうした人物になっていけるように助力する様々な教育機会を「教養」として提供しております。
2022年度から開始された「TUSくさび形教養教育カリキュラム」の特徴はそれぞれの段階に合わせ、教養を学ぶ機会を確保する点にあります。自らが受けている専門教育を俯瞰的に眺めたり、その意義を社会や文化・歴史の文脈の中に置くとともに、生涯教育として人としての幅を広げていってください。
また、多様な専門分野の教員が所属する組織として、より有機的なつながりをもって各教員の研究環境を整えつつさらに活動的に行動しております。その成果は学会などを通じて社会に還元するとともに、在学生や地域社会にも発信してまいります。
教養教育研究院設立後から、我々は本学在学生のみならず、地域社会や社会一般にも様々な企画を行ってまいりました。またこれからも様々な興味深い活動を行っていく予定であります。本ウェブページをご確認いただき、是非様々な企画にご参加いただきますようお願いいたします。
院長あいさつ
教養教育研究院 院長
Kazuko MATSUMOTO

専門教育と補完し合う教養教育ー好奇心を育み、高める
教養教育研究院は2021年に設置された組織です。学部教養に配置されていた教養組織を改め、ひとつに集約することで発足しました。背景にあるのは、2017年に制定された「教養教育の目標」です。「教養教育の目標」には、教養教育を通じて学生が等しく身につけることを目標とする5つの能力が掲げられています。目標達成のためには何をしたらよいか。議論を交わす過程で生まれたのが、専門教育を担う学部との連携をとりつつ、全学横断的に教養教育の発展に資する組織作りの構想です。この構想の実現を図るために、2018年に全学的検討組織「教養センター」を立ち上げ、入念な準備に3年をかけました。同センターの活動実績をもとに誕生したのが教養教育研究院です。
教養教育研究院は、名称が示すように教育面のみならず研究面にも注力する組織です。研究力向上を意図し、各教員は強い意志と熱意をもって研究に励み、成果を上げています。この点を押さえた上で教育面に特化して焦点を当てた場合、注目に値するのが本学オリジナルの教養教育カリキュラム「TUSくさび形教養教育カリキュラム」(略称:「TUSくさび」)です。
「TUSくさび」の導入は、教養科目の配置における抜本的見直しを意味します。従来のカリキュラム―3年生以上で専門の学習に専念できるように1,2年生で教養科目の単位を取りきりやすいスタイル―に教養教育のくさびを打ち込むイメージで、3年生以上で教養科目4単位以上の取得を必須としました。教養教育と専門教育に同じ重みを与えて並置させ、互いに補完し合う学びの環境を確立することが狙いです。高学年での教養科目との出会いは、深まった専門知の相対化を可能にする機会でもあります。そして、専門教育と教養教育が共鳴する中で行われる知の営みは、好奇心を育み、高める素地となることでしょう。こうして生まれた好奇心は、一人ひとりの学生を新たな知的空間へ導くと信じます。
教養教育研究院は若い組織です。若さをひとつの力に、こうした「TUSくさび」の導入をはじめ、4キャンパスに所属する100余名の教員が知恵と力を合わせてさまざまなチャレンジに意欲を燃やしています。専門分野以外にも関心の幅を広げることを願って開催するセミナー、教員が自らの言葉を添えておすすめの本を紹介する企画などがその例です。本学で受けた教養教育が学生にとって生涯の糧になることを願い、教養教育研究院は前進を続けます。