2022年 後期:「設計基礎2」

2024.02.16
●授業担当教員

 栢木 まどか(工学部建築学科 准教授)

●授業参観を受けて

 今回授業を見学いただいた、「設計基礎2」は、1年生後期、木曜の午後3〜5限を通して実施される必修の演習科目です。今年は私と早川亜希助教、非常勤講師の鳥山暁子先生、兵郷喬哉先生の4名の教員と、4名のTAで担当しています。建築学科に入学してくる学生の多くは、建築を設計することに意欲的ですが、前期にはその第一段階として図面の描き方を学び、後期のこの科目では、模型の作り方と、プレゼンテーションの手法を学ぶことを大きな目的としています。

 15回の授業のうち、前半で主に模型製作、後半で主にプレゼンテーションを取り上げます。見学回は、後半にあたる、自分で選んだ建築家を題材にしたポスターを制作する課題の2回目でした。冒頭に全員を集め、ポスター制作にあたっての表現手法や、図面の種類、建築家の意図を伝えるダイヤグラムについて講義し、その後、各自で制作作業に取り組むのを、教員とTAとで見て回ります。その次の回、完成したポスターを、皆の前で発表・説明する講評会までがセットです。

 100名強の学生が対象なので、教員とTAとで分担し、全員の進捗を確認しながら、作業を進められるようにしています。授業参観後、渡辺先生からは、教員とTAともに、この授業で何をやるべきかを理解して動いていることを良い点であるとおっしゃっていただきました。一方で、学生に対しては、今日の授業回のゴール像が見えづらかったのではとご指摘いただき、確かに、次週の講評会をゴールとした捉え方となっていたため、1回1回の到達点を示す構成になっていなかったことに気付かされました。来年に活かして行ければと思っております。

 また、この講義では複数回、ゲストを迎えての講義や実演を入れており、研究棟の製図室での実習であることから、そこには履修の1年生以外の学年や修士が聴講しにきていることもあります。今回はゲストレクチャーではありませんでしたが、冒頭の講義部分は4年生が来ており、そういった、学科、専攻全体で建築を学ぶ姿勢があることを評価いただけたのも嬉しく思いました。2年生以降へ、モチベーションを高く維持していけるような授業となるよう、今後とも考えていきたいと思います。

●評価・分析者

 教育DX推進センター TL部門長/教育支援機構教職教育センター 教授 渡辺 雄貴

●評価・分析内容

 「わかりやすく伝える」ということは、どの先生方も考えて授業設計を行っています.授業設計(インストラクショナルデザイン、Instructional Design、ID)は、「効果」「効率」「魅力」を高めるための手法や、モデルを集大成した学問領域としてあります.今回拝見した授業は工学部建築学科の1年次必修科目、「設計基礎2」という授業です。授業は、3限、4限、5限と3コマ連続の授業で、前期に開設されている「設計基礎1」の後続科目として位置づけられます。建築では、平面的な図面と立体的な構造物とを頭の中で行き来させ、空間把握を容易にしていくことが求められます。この授業では、レクチャーからはじまり、例示を行い、後半では実際に手を動かしながらやってみるという手法がとられていました。
 
 これも、IDでは、前回も紹介した、ID第一原理という物があります。これは、授業設計の際に具体的にどのように設計していくかを考えた物ですが、裏を返せば学習者にどのように学んでもらいたいかを示したものとして捉えることができます。
(参考:https://www.tus.ac.jp/fd/series/2022-2/
 
 今回の授業では、実際に例示をしながら、現実社会の問題を課題にすることで、学生のモチベーションを担保しながら、学びを進めていく学生の主体的な姿勢を窺い知ることができました。
 

[インタビュー日:2023年12月14日]