※内容は「東京理科大学報」 vol.240 掲載時のものです。

連綿と受け継がれる教育理念と独自のプログラムで、教科書には書いていない、確かな「人間力」を育てる。

名門男子校で『人間力』を養う教育を推進
学校法人芝学園
芝中学校・芝高等学校 校長

武藤 道郎さん

学校法人芝学園
芝中学校・芝高等学校 校長
1985年 東京理科大学理学部第二部化学科卒業。1991年 芝中学校・高等学校に専任教諭(理科)として着任。同校の生活指導係主任、入試委員長、経営企画副室長、副校長を経て2017年から現職。同校常務理事。

「自分と異なる多様な価値観や文化に触れ、理解を深めることは、人としての心を大きく成長させてくれるはず」

東京タワーの足元に学舎を構える「芝中学校・芝高等学校」は、徳川家の菩提寺・増上寺の僧侶養成機関(檀林)として始まり、今年120周年を迎える名門男子校。その第 15代学校長を務めるのが武藤さんだ。「歴史のある学校ですから、教育理念を曲げることはありません。芝の原点と向き合い、新しいものも取り入れ、人生を豊かにする『人間力』を養う男子教育を行っています」と話す。実物から学ぶことを重んじる芝学園では、国内外の校外学習や独自視点のユニークな学習機会を多数提供している。今年は、武藤さんら教員たちが数年来温めてきたモンゴルでの研修プログラムも始動する。「多くの同級生と過ごす中での男の子同士のコミュニケーションや、自分と異なる多様な価値観や文化に触れ、理解を深めることは、人としての心を大きく成長させてくれるはず」と期待を寄せる。
幼い頃から学校が大好きで、早くから理科教員を志していた。今も趣味は「学校」と断言する。校長歴9年ながら、3年前まで自ら理科の授業を担当し、休み時間には校長室で生徒の質問に応じていたというから驚きだ。もともと母校愛が強いといわれる芝学園は、かつての卒業生が、教員や保護者として再び学校に戻ってくるケースも少なくない。一方、武藤さんとこの学校との出会いは偶然で、理科大在学中、学生課で紹介された理科実験助手のアルバイト先が、たまたまこの学校だったという。その後は、昼間は芝学園で実験助手、夜間は理科大で勉強という日々を過ごしたそうだ。「当時、理科大の卒業生である尾高先生という方がこの学校にいらしたというご縁もあり、実験助手から講師に、そして教員として正式に採用されてから現在に至るまで、気付けば芝一筋です」と笑う。また、教員の質向上にも力を入れており、教員が日々新しいことを学び、研鑽を積むことが、結果として生徒の成長と成熟した教育を支えると考えている。そのため、教員向けの学習支援体制も整えているという。理科大で培った理学の知識と実験力を武器に、教育者として、常に挑戦を忘れず、学びを追求し続ける武藤さんの姿は、伝統を受け継ぐ生徒たちにとっても大きな道標となっているだろう。

東京タワーが間近にそびえる校舎

卒業生のホンネメッセージ~学生時代を振り返って~

昭和56年入学ですからずいぶん昔の話になります。理学部第二部の化学科に在籍しておりました。当時は企業に勤めながら学ぶ方も多く、仲間の層は格段に高校時代より広がったと思います。理科の教員免許取得を目指したことが大学選択のきっかけでした。今思い出すのは主に実験実習のことです。前身の物理学校時代の名残を感じる校舎や神楽坂の町並みも印象深く、今ではすっかりオシャレになったと感じます。理科大の学生課にご紹介いただき、本校の理科実験助手として勤務を始め、非常勤講師を経て専任教諭となり、現在は学校長を務めております。
理科大で得たものは私の教育観に大きな影響を与えました。それは、「学校が好きである」「授業が好きである」という思いです。社会に出た上で教職を目指せたのは、仲間のおかげだと感じております。皆さんのこれからにエールを送ります。