※内容は「東京理科大学報」 vol.228 掲載時のものです。

品質主義をつらぬく精密機器製造を通して、社会に新しい「機会」を提供し続ける。

社会に新しい機会を生み出す
「ものづくり」に取り組み続ける
セキシングループ
代表取締役社長

東野 真さん

セキシングループ
代表取締役社長
1998年3月東京理科大学理工学部電気電子情報工学科卒業。同年、セキシン電機株式会社に入社。チームリーダーなどを経て2007年、代表取締役社長に就任。現在に至る。セキシン電機株式会社は2023年に創立55周年を迎える。

「在学中は、人とのつながりを大切に過ごしました。一人でも多く会い、人脈をつくる。この経験が仕事にも大きな影響を与えています。今の理科大生にも、自ら機会をつくって将来の可能性を広げてもらいたい」

コロナ禍、デジタル化などによって、人や物、環境のあり方が変わりゆく近年。東野さんが経営するセキシングループは、社会に新しい機会を生み出す「ものづくり」に取り組み続けている。大学卒業後、家業を継ぐために入社し、生産ラインのチームリーダーなどを務めた後、代表取締役社長に就任された東野さん。先代が1968年に設立したセキシン電機は、2005年頃まで大手電機メーカーの家庭用ビデオカメラに使用する半製品の製造を主軸としていた。その後ビデオの終息とともに、工作機械用の測長機器やICカード用受信機、放送局向け電子機器など、業務用機器の製造に転換。同時に開発を始めた、大学向けAV機器のシステムコントローラやLEDビジョンは、現在のセキシンを支える主力製品になっている。「ビデオの衰退とリーマンショックにより、2000年以降は苦しい時期が続きました。経営を安定させるため、製品の国内生産とお客さまとの信頼確保に力を入れました」と東野さん。製造は海外の工場に委託せず、少人数の技術者が複数の製品を持ち回りで担当し、コストを抑え生産の効率化を図ったという。

セキシンのLEDビジョンは全国100カ所以上に設置されている

また、会社名にもなっている赤心(嘘偽りのない真心)を示すため、お客さまに向けて工場見学を実施。クリーンな製造環境と今までの実績から、取引につなげることができたそうだ。今後も品質第一を守りつつ、自社技術を生かした新規事業も進めていきたいと語る。「新開発の天候に左右されずに芝生を育成できる、天然芝生長促進用LEDシステムの導入拡大を検討中です。将来的には、スタジアム以外にも展開できる可能性を探っていきたいです」。大学時代は理工学部の中西研究室で、後の自社製品に通ずるLEDデバイス製造の効率化について研究していたそうだ。「在学中は、人とのつながりを大切に過ごしました。一人でも多く会い、人脈をつくる。この経験が仕事にも大きな影響を与えています。今の理科大生にも、自ら機会をつくって将来の可能性を広げてもらいたい」。厳しい時期を乗り越え、新しい縁を結び会社を守り続けてきた東野さんだからこその、強いメッセージだ。

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