※内容は「東京理科大学報」 vol.224 掲載時のものです。

気象予報士として、正確な情報と正しい知識を発信していくことで、人々の防災意識を高めたい

テレビやラジオを通して、さまざまな情報を発信
気象予報士

遠藤 由佳子さん

気象予報士
2017年東京理科大学理工学部土木工学科卒業。2017年4月NHK千葉放送局に入局。キャスターとして勤務。2021年気象予報士資格を取得。

「自分の言葉で、より正確に気象状況や防災情報を伝えていきたい」

わずか4.2%、これは、昨夏の気象予報士試験の合格率だ。遠藤さんは、この超難関試験を突破し、気象予報士となった。大学卒業後は、NHKの千葉放送局でキャスターとして勤務。テレビやラジオを通して、さまざまな情報を発信していた。また、アナウンス業務の他にも、企画や取材、編集など、制作業務にも携わっていたという。2021年には、晴れて気象予報士の資格を取得。今後は、気象予報士として、天気のことだけでなく、防災情報も伝えていきたいと考えている。「もともと、気象予報士を目指していたこともそうですが、2019年に台風が房総半島を襲ったことも、資格取得への思いを強めました。あの台風では、亡くなった方も多く、家屋の倒壊など、千葉県の被害は甚大で、改めて災害報道の大切さを実感しました。そのとき、自分の言葉で、より正確に気象状況や防災情報を伝えていきたいという思いが強まりました」と遠藤さん。現在は、気象予報士として実際に世の中に発信するための研修を行っているという。また、そもそもキャスターや気象予報士に興味を持った理由として、伊豆大島の観光大使を務めた経験も大きいそうだ。観光大使といえば、特産品やその土地のPRが主たる活動だが、遠藤さんが大使を務めていたその年は、伊豆大島を大きな台風が直撃、各地で土砂災害などが発生した。遠藤さんも大使として、被害の様子を伝え、復興のための支援の呼びかけなどを行っていたという。

大学では、橋梁研究室に所属し、島根県の豪雨災害の特性などを研究。「積乱雲の発達の仕組みや雨による地層への影響など、土木工学の研究室で学んできた知識も、今後に生かしていけたらと思っています」。忙しい報道の世界に身を置いてきた遠藤さんだが、以前は休日になると趣味の登山を楽しんでいたそうだ。しかも、白山や白馬岳といった本格的な登山だというから驚きだ。朗らかな印象と違い、骨太な回答に驚かされるが、自然を愛する遠藤さんだからこそ、自然の恐ろしさも正確に伝えたいという気持ちがあるのかもしれない。そんな遠藤さんが、防災に強い気象予報士として登場する日が待ち遠しい。

気象予報士試験の勉強のため、遠藤さんが実際に使用していた天気図やテキスト。