※内容は「東京理科大学報」 vol.218 掲載時のものです。

学ぶ姿勢を忘れることなく、
自分を高めながら、
人々の暮らしを彩る製品を生み出したい。

新製品のコンセプト立案、美容成分の選定、
化粧品原料の開発から効果検証まで、幅広い業務に携る
株式会社コーセー
皮膚・薬剤研究室

高橋 由佳子 さん

株式会社コーセー
皮膚・薬剤研究室
2013年 東京理科大学 理工学部工業化学科(現・先端化学科)卒業、2015年 東京理科大学理工学研究科工業化学専攻(現・先端化学専攻)修士課程修了。同年4月 株式会社コーセー入社。皮膚・薬剤研究室に配属、現在に至る。

「一つでも多くの商品を、そして何年も愛され売れ続ける製品を生み出し、多くの人の暮らしを彩っていきたいと思っています」

化粧品会社のコーセーで研究者として働く高橋さんは、電子機器の製品開発をしていたという父親の影響もあり、幼い頃から理化学やモノづくりに興味があったという。そして、将来は「人の生活を楽しく彩るような製品をつくりたい。女性ならではの感性を発揮できる仕事がしたい」と思うようになり、大学4年生からは、化粧品などで用いられる界面化学を専攻。医療用途や一部の化粧品でも用いられているリポソームの研究を中心に行っていたそうだ。コーセーに入社後は、新製品のコンセプト立案、美容成分の選定、化粧品原料の開発から効果検証まで、幅広い業務に携わっているという。
「化粧品の開発では、化学だけでなく生物の知識を必要とする場面も多く、化学を専攻していた私は知識が足りず、苦労することもあります。ですが、新しい知識を身につけられる良い機会であり、楽しさも感じています。そして何よりも、自分が携わった製品が世の中に出た時や、家族や友人から『使って良かった!』と評価をもらった時は、やっぱりうれしいですし、やりがいを感じますね」。

さらに、高橋さんは、個人の研究テーマとしてiPS細胞を用いた老化メカニズムの探索(基礎研究)も行っているという。「学生時代は、テスト勉強に、実験に、レポートにと、正直とても大変でしたが、化学の基礎をしっかり学べたことや、研究で培った思考力・洞察力・行動力・コミュニケーション力などは、今も仕事にも生かされています」と高橋さん。大学で学びを深める中で見つけた、化粧品会社で働くという夢をかなえた高橋さんは、今その舞台で新たな目標を見つけた。
「これからは、一つでも多くの商品を、そして何年も愛され売れ続ける製品を生み出し、多くの人の暮らしを彩っていきたいと思っています」。夢に向かって走り続けるその姿は、とても美しく輝いていた。

開発に携わった「iP.Shot アドバンスト」は、数々の雑誌でベストコスメに選ばれるなど高い評価を受けたコスメ製品