「トライ&エラーを繰り返しながら検証していくことは、学生時代の研究と似ていますね」
学生時代は化学専攻だった中川さんは、大学院では自然界に存在する除草効果のある成分を簡単に合成する方法について研究していた。
現在は、都内の総合印刷会社で食品包装の開発を行っている。開発する包装物の種類は、飲みきりサイズのゼリー飲料の小袋から飲食店のバックヤードで使用する業務用製品まで多岐にわたる。
もともと食べることが大好きだったという中川さんが、食品包装の開発に興味を持ったきっかけは、たまたま食べていたお菓子の袋に開けやすい加工が施されていると気付いたことだった。 開封のしやすさや食べやすさなど、食品の包装には、さまざまなアイデアや工夫が込められていることに驚いたという。そして卒業後は、そのまま食品包装の世界へと飛び込んだ。「包材を開発するには、内容物や使用方法に合わせて、強度や形、使い勝手を設計します。そして、食品の期限の間、きちんと保持できるか、大量ロットとなっても安定して精度を保てるかを評価しながら製品化していきます。トライ&エラーを繰り返しながら検証していくことは、学生時代の研究と似ていますね」と中川さん。

地道な作業ではあるものの、自分が手がけた製品が実際に店頭に並べられた姿を見ると、やりがいを感じるという。スーパーやドラッグストアに行くと、ついパッケージを手に取ってしまうという中川さんだが、休みの日には、郊外の山にトレッキングに出かけることも多いそうだ。自然は気持ちよくて、ご飯もおいしい、と笑顔の中川さんに今後の目標を聞いてみた。
「提案型の開発経験値を上げていきたいですね。これまでは、お客様の要望に応えるニーズ型の製品開発をすることがメインでしたが、これからは、包装の技術や知識を備えた開発者としてのシーズを起点とした製品化を目指していきたいです」。
世の中のさまざまな動向や情報をキャッチしながら、消費者やメーカーが求めている製品を、自分から提案できる開発者になりたいと語ってくれた。
