※内容は「東京理科大学報」 vol.217 掲載時のものです。

顧客のニーズを叶える製品から、
開発者発想の新しい食品包装の開発・提案へ

包装の技術や知識を備えた開発者としての
シーズを起点とした製品化を目指したい
共同印刷 株式会社
技術開発本部 包材製品開発部

中川 みなみ さん

共同印刷 株式会社
技術開発本部 包材製品開発部
2008年 東京理科大学 理学部第一部化学科卒業、2010年3月 東京理科大学大学院 理学研究科化学専攻修士課程修了。同年4月 共同印刷株式会社入社。技術開発本部 包材製品開発部に配属、現在に至る。

「トライ&エラーを繰り返しながら検証していくことは、学生時代の研究と似ていますね」

学生時代は化学専攻だった中川さんは、大学院では自然界に存在する除草効果のある成分を簡単に合成する方法について研究していた。

現在は、都内の総合印刷会社で食品包装の開発を行っている。開発する包装物の種類は、飲みきりサイズのゼリー飲料の小袋から飲食店のバックヤードで使用する業務用製品まで多岐にわたる。

もともと食べることが大好きだったという中川さんが、食品包装の開発に興味を持ったきっかけは、たまたま食べていたお菓子の袋に開けやすい加工が施されていると気付いたことだった。 開封のしやすさや食べやすさなど、食品の包装には、さまざまなアイデアや工夫が込められていることに驚いたという。そして卒業後は、そのまま食品包装の世界へと飛び込んだ。

「包材を開発するには、内容物や使用方法に合わせて、強度や形、使い勝手を設計します。そして、食品の期限の間、きちんと保持できるか、大量ロットとなっても安定して精度を保てるかを評価しながら製品化していきます。トライ&エラーを繰り返しながら検証していくことは、学生時代の研究と似ていますね」と中川さん。

中川さんが開発に携わった液体用小袋『Tパウチ・ショット』

地道な作業ではあるものの、自分が手がけた製品が実際に店頭に並べられた姿を見ると、やりがいを感じるという。スーパーやドラッグストアに行くと、ついパッケージを手に取ってしまうという中川さんだが、休みの日には、郊外の山にトレッキングに出かけることも多いそうだ。自然は気持ちよくて、ご飯もおいしい、と笑顔の中川さんに今後の目標を聞いてみた。

「提案型の開発経験値を上げていきたいですね。これまでは、お客様の要望に応えるニーズ型の製品開発をすることがメインでしたが、これからは、包装の技術や知識を備えた開発者としてのシーズを起点とした製品化を目指していきたいです」。

世の中のさまざまな動向や情報をキャッチしながら、消費者やメーカーが求めている製品を、自分から提案できる開発者になりたいと語ってくれた。

包材の耐久性を検証する、強度測定器