※内容は「東京理科大学報」 vol.216 掲載時のものです。

商品の魅力を伝えることはもちろん、
会社の魅力も、社内外に広く伝えていきたい。

生物工学出身の大手菓子メーカー宣伝担当
研究者ならではの目線で、商品の魅力を発見・発信する
株式会社ロッテ
ロッテノベーション本部 コミュニケーションデザイン部 情報クリエイティブ担当 宣伝企画課

井上 貴美子さん

株式会社ロッテ
ロッテノベーション本部 コミュニケーションデザイン部 情報クリエイティブ担当 宣伝企画課
2014年 東京理科大学 基礎工学部生物工学科卒業。2016年 東京理科大学大学院 修士課程修了。2016年 4月株式会社ロッテ入社。中央研究所に配属。新商品の開発に携わる。2017年社内組織編成の変更によりロッテノベーション本部の研究職として新商品開発を続ける。2019年7月より宣伝担当に。CMからPRまでコミュニケーション全般を担当、現在に至る。

「商品の魅力を発信するのはもちろんですが、ロッテという会社の良さを、もっと多くの人に知ってもらい、好きになってほしいと思っています」

 大手菓子メーカーのロッテに勤務する井上さんは、宣伝担当になってまだ半年ほど。それまでは、研究所でチョコレートやビスケットの新商品開発を行っていた。学生時代は、学部・大学院で生物工学を専攻。学外の東京都健康長寿医療センターで筋ジストロフィー症について研究していたそうだ。「就職を考えた時、自分が研究していた医薬系に行くか迷いましたが、小さい頃から食べることが好きだったので、お菓子の道に進みました」と井上さん。研究所の時は、乳酸菌ブランドを担当。賞味期限とその期限内の品質を担保することなど、考慮しなければならないことが多く日々悩んでいたという。「味の設計でも若手の自分と長年経験を積んでいる先輩方の"おいしい"と思う感覚は違うところがあって、同じ甘さの中でもどの甘さを追究すべきか試行錯誤していましたね」と振り返る。

研究所時代に開発していた『乳酸菌ショコラ』

 4年目となった昨年7月、宣伝部門に異動。もともと商品開発の一環としてマーケティングにも興味があったというが、研究職からの宣伝というのは想定外だった。「初めは何もかもが手探りでしたね。とにかく全力でやってます。コミュニケーション戦略というのは、明確に効果を測定するのは難しい面もあり、理系出身としては、少しもどかしい部分もあります。ですが、先日担当した『シャルロッテ』のキャンペーンなど、サンプリングや、SNSを通して、お客さまの反応がダイレクトに分かるのは、面白いし、とても嬉しいです」と新しい部署でも楽しそうな井上さん。研究者としての展望が出てきた時の突然の辞令に最初は戸惑ったが、今は少し変わってきたという。「宣伝業務に携わるようになってから、商品だけでなく、この会社のいいところにもたくさん気が付きました。残念ながら社内の人を含め、その魅力に気付いている人は少ないと感じています。だからこそ、商品の魅力を発信するのはもちろんですが、ロッテという会社の良さを、もっと多くの人に知ってもらい、好きになってほしいと思っています」。

『シャルロッテ』の一枚文庫キャンペーンを担当。