※内容は「東京理科大学報」 vol.215 掲載時のものです。

家づくりそのものを楽しいと思ってもらえるように。
造っていく過程も大切にしていきたい。

住宅や店舗、こども園などの設計監理を手がける設計事務所「あとりえ」の代表を務める
一級建築士事務所あとりえ
代表・管理建築士

とりやま あきこさん

一級建築士事務所あとりえ
代表・管理建築士
東京理科大学 理工学部建築学科卒。2003年 理工学研究科 建築学専攻 修士課程修了(初見研究室)。同年、スターツ株式会社(現:スターツコーポレーション株式会社)に入社。設計部 企画設計室所属。2006年スターツコーポレーション株式会社を退社後、独立。現在に至る。工学部建築学科で非常勤講師として2019年度後期から勤務。イラストを描くことは自身のライフワークでもあり、挿絵や絵本の制作にも携わる。著書:絵本『ばあちゃんのウクレレ』(文芸社)

「子育ての経験も生かしながら、今後は、子どもに関する施設にもどんどん挑戦していきたいと思います。それから時間に余裕ができたら、仕事とは別に、絵本や家具といった、手仕事的なものづくりにも取り組んでいきたいですね」

 戸建て住宅や店舗の意匠設計を得意とする設計事務所「あとりえ」の代表を務めるのがとりやまさん。「冬暖かくて、夏涼しい。断熱性が高くて温かみのあるお家。そして窓から見える景色など、家の中にいる時に感じる快適さは、特に大事にしています。 それから私自身、子育てをしながら設計をしているので、家事動線や小さなお子さんがいても安心して暮らせるという安全性にもこだわっています」。事務所は都内にあるにもかかわらず、茨城での仕事も多いという。「出身が茨城なんです。茨城の方だと新築で家を建てたい方がいっぱいいらっしゃって、何棟か設計しました。そこから施主さまの紹介だったり、たまたま街を歩いていた人が私の設計した建物に興味を持って連絡してくださったり徐々に広がっている感じです」。仕事のやりがいについては「施主さまにとって家づくりは一大イベントなのでコミュニケーションがとても大切。相手が求めているものは何なのか気持ちを汲み取って形にすること。難しいことですが、相手の想像を上回る提案ができたときや、お客さまが感動してくれる姿をみると嬉しいですね」。

「とうみょう 子ども園」(2018年)雪深い地域に適した使い勝手や会津若松の歴史を感じさせる漆喰壁や黒い大家根が特徴的。

 最近は、お客さまとSNSでつながる機会も多いそうで、引き渡して終了ではなく、SNSを通してその後の暮らしぶりを見守れるようになったことはとても面白いという。 また、理工学部建築学科卒業生で構成される『野田建築会』の副会長も務る。年齢を問わず困ったときにいつでも相談できる仲間がいたり、そこから仕事につながったり。同窓会の存在や研究室でのチームワーク経験は、理科大で良かったと思えることの一つだそうだ。今後についてはこう語る「昨年、会津若松にある子ども園さんの設計をさせていただいて。それが自分の中でも大きな経験でした。子育ての経験も生かしながら、今後は、子どもに関する施設にもどんどん挑戦していきたいと思います。それから時間に余裕ができたら、仕事とは別に、絵本や家具といった、手仕事的なものづくりにも取り組んでいきたいです」。