今年度から、神楽坂キャンパス8号館5階に「アクティブラーニング教室」が新設された。
教室には、電子黒板機能付きプロジェクターなど、アクティブラーニング型授業の効果や効率を高め、魅力的な授業を展開するための学習環境が構築されている。
コクヨ株式会社ファニチャー事業本部の一員として、このアクティブラーニング教室導入を手がけたのが、本学卒業生の高橋由佳さん。
「母校からのオファーを受けて手がけた仕事。プラン提案の際には“絶対に受注するぞ”と力が入りました(笑)」
高橋さんが所属する教育バリューチームは、教育現場における商品企画・開発からプロモーション、設計、営業まで幅広い役割を担当する部署。顧客のニーズを汲み取って、コミュニケーションの活性化や学びのサポートをする学習空間を構築することがミッションだ。
「商品が、実際にどのように使われ、どんな課題があるのかは、お客様に使っていただいて初めてわかることです。その意味では、私たちの仕事は“商品を納品した時点から始まる”と言ってもいいかもしれません」

しかし、化学科の学生だった高橋さんが、なぜ現在の仕事を選んだのだろうか?
「当初は、研究職に進むことも考えていたんですが、いろんな会社の企業説明会を聴いているうちに、理系の学生でも、自分が思っていたよりずっと幅広い進路があることに気づいたんです。研究職は専門知識や技術を持っていることが何よりの強み。その路に進む魅力もありましたが、より広い視野を持てる職種への期待で“文系向き”と言われる職種にチャレンジしました」
空間構築を通じて、働き方、学び方、コミュニケーションをデザインする……高橋さんは、現在の仕事に大きな可能性を感じている。
「私自身、小・中学校時代は理科実験や工作が大好きな子どもでした。カタチは違うけれど学びの環境づくりによって、子どもの好奇心や創造性をもっとかき立てることができると思います。今後は、家具だけでなく文具やICT機器とも連携させながら、学ぶ人全てをワクワクさせるような学びの空間を提案していきたいですね」
最後に、現在の理科大生に向けてメッセージをお願いした。
「理科大生には、一つのテーマを深く掘り下げたいという探求心が旺盛な人が多いと思います。でも、その特性は裏を返せば『視野が狭い』と言えるのかもしれません。例えば進路を選択する際にも、食わず嫌いになることなく、多様な可能性に目を向けてほしいと思います」
