私の授業改善「機械航空宇宙力学」

機械航空宇宙力学 
2025.05.23

松崎亮介(創域理工学部 機械航空宇宙工学科 教授)

 私が担当している「機械航空宇宙力学1」は、1年生前期に開講される科目で、物理学の力学分野を中心に、運動学や保存則、質点の運動といった内容を講義形式で扱います。本科目には別途演習科目も設けられており、学生は座学と演習の両面から学習を進めることができます。

 受講生は入学したばかりの新入生ですが、やる気が高く、また大学入試に向けて物理の基礎をしっかり学習してきた背景もあり、授業は比較的円滑に展開できています。授業形態としては反転授業やアクティブラーニングなどの手法は用いず、伝統的な講義スタイルを採用していますが、その中でも学生の意欲を損なわないようにいくつか工夫を凝らしています。

 まず、自分自身がモチベーション高く授業に臨むことを重視しています。数年に一度は授業全体を見直してブラッシュアップを図り、自己学習を通じて理解を深めることで、授業内容への関心を常に新鮮に保つよう努めています。また、一冊の教科書をしっかりと自分のものにしてもらうことを目標とし、教科書に沿って講義を進め、章末問題を宿題として活用しています。全ての授業が終わったときに、授業全体像を把握できて、あとから振り返ることができる教科書を手元に残すことは、今後の学習にとって大きな助けになると考えており、そのような状態を目指しています。

 私的な経験にはなりますが、小学生の子どもに勉強を教えたり、授業参観に参加したことが、大学での授業改善にも役立っています。この経験を通じて、自分のペースで一方的に説明しても相手には理解してもらえないことがよく分かりました。そのため、理解しづらい部分は丁寧に繰り返し説明し、特に教科書で省略されがちな式の導出は、板書で詳細に示すようにしています。加えて、演習時間の明確化のために教室に大きなタイマーを掲示したり、チョークホルダーを用いて板書の視認性を高めたりといった工夫も取り入れています。これらは、自分自身の授業へのモチベーション維持にもつながっています。

 実際に授業アンケートでは、板書の見やすさや導出の丁寧さに対する肯定的なコメントが多く見受けられました。一方で、板書の文字の大きさなどの点で見づらいという声や、PowerPointなどを活用してアニメーションによる視覚的な説明を取り入れてほしいという要望もあり、今後の改善点として検討していきたいと考えています。