「数学概論」
小谷佳子(理学部第二部 数学科 教授)
理学部第二部数学科(以下2S)の「数学概論」は、大学数学を学ぶ上で、分野に関わらず必要となる基礎事項を扱ういわゆる関門科目です。クラスは2つありますが,2クラスとも前期土曜日の5,6限に開講しています。
この数学概論ですが、2008年度に新規に開講しました。開講するにあたり、当時の学科主任の先生を中心に学科内で相談し、演習はグループ学習を取り入れることにしました。当時はまだアクティブラーニングという言葉が今ほど定着していなく、私自身その効果に懐疑的でした。しかし、取り入れた理由は、友達をつくるきっかけを作りたいというものでした。当時、数学科の学生や父母からの相談に、数学科は実験などがなく友達をつくるきっかけが少ない、極端な場合は大学で一言も話すことができないまま数ヶ月経ってしまうなどの悩みが聞かれました。そこで、グループ学習を取り入れることで、なんとかそのような状況を回避したいと考えました。
取り入れるからには、講義と演習を連続して開講し、その学習効果も期待しようと、全クラス土曜5、6限に開講しました。他大学の友達は、土曜日はサークル活動の日なのに2Sは必修の授業があると文句を言う学生もいましたし、数学科は座学が中心だと思っていたのに、議論しながら演習問題に取り組むというグループ学習にびっくりする学生もいました。
新規開講から10年以上たちグループ学習に驚く学生も少なくなり、3月に高校を卒業したいわゆる大学1年生を中心に、数学を学びたい社会人学生、シニアの学生、ちょっと回り道をしてしまった学生など様々な学生がグループで一緒に数学を勉強するという2Sならではの光景が見られるようになりました。学習効果は統計をとったわけではありませんのでわかりませんが、’お友達作り’という点では合格と言える気がしています。
授業の進め方は
1.毎週,前回の内容の小テストを実施、友達と答案を交換して,解説を聞きながら採点.
2.講義資料の配布、講義.
3.グループに分かれ,最初は各自で演習問題に取り組み、その後グループで議論し、TAのサポートを受けながら演習問題の解答を紙にまとめ,TAに提出.並行して,小テストの答案をTAが回収,答案確認,返却.
4.演習問題の解答を教員が解説.この時間に提出された解答用紙をTAが添削.
5.提出された解答用紙のフィードバック
学生のアンケートをみていますと、毎週の小テストやスピーディーなフィードバックなどが自習を促すようです.
嘱託助教を含む専任教員6名、TA12名以上,全員の努力がアンケートの高評価に繋がったと思います。