私の授業改善

科学英語I
2019.10.25

住野豊(理学部第一部 応用物理学科 講師)

 私が科学英語を担当するようになり今年で3年目となります。科学英語というのはややあいまいな部分があり、英語文献を通して学ぶ科学に重点を置くのか、英語に重点を置くのか、講師の裁量で異なります。私は科学的な文献・課題を通して生きた英語を学ばせることをこの講義での目標としました。また、講義ではreadingだけでなくspeakingやlistening、writingも学ぶ機会を与えたいと考えました。これは一見すると学生の英語能力では難しい、欲張りな要求にも感じます。ところが科学、特に物理と言う題材は英語に加えて数学と言う言語を併用します。このことから、科学英語ならば学生の英語能力が足りない状況で生の状態の英語を与えられても何とか消化・理解できると考えたのです。これは私自身が学部生時代に交換留学生として海外で学んだ際の経験に基づいています。

 ところが、このような理想を実際へと移すことを考えるととたんに壁にぶつかりました。初年度に関しては、講義で用いる言語を4割英語、6割日本語としました。また、発表能力を高めるため、学生さんには章末問題を解いてきてもらい黒板を用いて1人2回は発表してもらうこととしました。2年目に関しては、オーソドックスな輪読スタイルを採用しつつ講義中でのwriting指導なども試してみました。ところが、どちらの形式も対面で行える講義時間において、listeningを中心とした受動的な講義形式となっていました。私はこの点に強い不満を覚えていました。

 今年度この不満を解消するため反転授業形式に挑戦しています。学生は課題として、英語でなされた私の講義を視聴します。一方、講義時間では学生を3-4名のグループにわけ、章末問題を題材とした議論と発表をしています。これにより、受動的なreading, listeningの部分は自学で、能動的なspeakingやwritingに関しては講義中に行うことが可能となりました。また、少人数グループを採用することで問題を解く部分に関し、講義中に英語でinteractiveに指導できるのも面白いと考えています。是非、今年こそ学生が英語を好きになる、更には物理も好きになる、その第一歩を提供できる講義を遂行できたらと考えています。