電子工学に対する興味の喚起
生野孝(先進工学部 電子システム工学科 准教授)
「エレクトロニクスの基礎1」は、先進工学部電子システム工学科で学部1年生が初めて学ぶ専門科目で、2022年度までは2年生を対象としていました。当学科を選ぶ学生全員が電気電子分野に興味を持っているわけではなく、多くは就職の有利性を考慮して選んでいます。この科目の主な目的は、専門科目への興味を喚起し、専門知識が社会とどのように関連しているかを理解させることです。
以下の教育手法を通じて、学生の関心を引き出し、持続的な興味を育てる努力をしています。
(1)実物を用いた教育
電子機器(スマートフォン、タブレット、パソコン、電子レンジなど)を講義中に分解し、部品や回路を学生に直接観察させることで、理論だけでなく実際の技術に対する興味を喚起し、座学への動機付けを強化します。
(2)実践的学習内容の導入
コロナ禍の感染者数推移を微分方程式で予測する実例を示し、電気数学の理論が実社会でどのように応用されるかを教示しました。また、プログラミングの導入では、生成系AIを用いてゲームのソースコードを作成させ、学生のPCで実行させることで、不具合が生じた際には即座に指導を行い、問題解決技術も教えました。これにより、AIの可能性を体感させ、AIの有効利用への興味とコーディングの障壁を低減しました。これらのように、タイムリーな話題を取り上げることで電子工学への興味を喚起します。
本講義では、学部1年生にこれから学ぶ専門科目に興味と関心を持たせることに尽力しています。抽象的な理論だけでなく、その知識が社会にどのように役立つかを理解することが、学生にとって非常に重要です。自分の将来像や社会の未来像を想像しながら、学生自ら主体的に学びを深めるきっかけになりうる講義を今後も継続していきます。