私の授業改善「原価計算」
岩澤佳太(経営学部 経営学科 講師)
「原価計算」は経営学部経営学科の選択必修科目であり,例年延べ150~200名程の履修者になります。これほど多くの学生に90分間集中して講義を聞いてもらい,少しでも原価計算の考え方やその面白さを伝えるために,日々試行錯誤を繰り返していますが,特に意識していることは以下の3点です。
① 各講義回の目標と体系の共有
各講義のはじめにその日の目標と主な論点,覚えて欲しいキーワードをスライド1枚で提示し,2・3分程度で説明しています。またあわせて講義全15回の中での位置づけも紹介しています。これにより学生に講義の体系性を意識付け,講義中に今何をしているのかを理解してもらうようにしています。またテスト勉強の時は,各講義冒頭で示している論点やキーワードを説明できるように復習するよう指導しています。
② 講義内演習課題の設定
各講義回では,私の講義パートだけでなく,合間に何度か学生に演習課題を解かせる時間を設定しています。適宜アウトプットの時間をとることで,学生の理解を促すと共に,講義中に聞き漏らすと課題ができないような設計にすることで集中力を維持させることを目的としています。次の講義回では,前回の演習課題の模範解答とともによく出来ていた学生の回答をいくつか提示することで,学生の意欲を刺激することも意識しています。演習課題はLETUSを通じて配布,回収,成績管理をしています。また講義内演習課題は,期末成績の30%を占めています。
③アカデミックな視点の共有
原価計算は,公認会計士試験や日商簿記といった資格試験の科目にもなっています。学生によって予備知識に大きな差がある中で意識しているのは,研究者が大学でおこなう講義としてアカデミックな視点を常にいれることです。具体的には各講義内容に関連した先行研究(興味深い実験室実験や調査等)の紹介や,私自身の研究で出会った企業の事例などを紹介しています。これにより,全ての学生が将来に役立つ感覚を持てるようにするとともに,資格勉強をしている学生にとっても知的好奇心が刺激されるような講義を目指しています。
これらの工夫を通じて,少しでも学生が受け身にならない講義となるよう意識しています。ただし学生によって理解度や興味を示すポイントは様々なので,リアクションを見ながら今後も試行錯誤して参ります。