私の授業改善

材料力学1、材料力学演習1
2019.10.23

佐伯 昌之(理工学部 土木工学科 准教授)

 私が担当している科目のうち、材料力学1と材料力学演習1に関する授業改善について説明させて頂きます。図は、土木工学の主要専門分野の1つである構造力学に関する科目構成図です。土木工学科では、すべての主要専門分野の入口(基礎)と出口(応用)を必修化することで、主要専門分野を網羅的に修得するようにしています。材料力学1とその演習は、学修ポートフォリオの評価軸では「専門分野の学力(基礎知識を習得するとともに、応用できるようになる)」に相当しますが、その中でも基礎に重点をおいた授業になります。「デザイン能力」等の他の評価軸は、「構造力学実験」や「コンクリート構造物の設計」で育成することになっていますし、「難問を出題して学生に考える力をみにつけさせる」というような事は出口(応用)に近い科目で行います。そのため、本授業の授業改善は、如何に学生に基礎を身に付けさせ、簡単な問題を解けるようにするか、に集中することになります。

 私が取り組んできた授業改善の中で、次の2点をご紹介したいと思います。

【授業改善1】
 土木工学科では、授業アンケート結果が良い授業を参観する制度があります。以前、授業参観に伺ったとき、担当の先生はまず白チョークで黙々と板書し、学生はノートをとっていました。学生がノートを取り終えた後に、先生が赤や黄色のチョークで解説をしていきます。この様にすると、学生は随分と理解しやすいようでした。私が学生のときは、先生の言葉を聞き逃さないことと、内容を理解することにエネルギーを費やしていましたが、多くの学生は板書をノートに写すことにエネルギーを割いているようです。そのため、確実に基礎知識を身に付けさせるために、板書と説明を分けることにしました。これを実践した後の授業アンケートでは、評価が随分向上したことを覚えています。

【授業改善2】
 第13回のFDセミナーにおいて関西大学の森朋子先生が講演されていましたが、知識の内化と外化のサイクルを増やすことが重要とのことです。授業で基礎知識を頭に入れ(内化)、演習問題を解いて解答を確認する(外化)。このサイクルを沢山繰り返すことで、知識は定着し、応用する力も伸ばされるものだと理解しました。ところで、基礎知識の定着には、沢山の演習問題を解くことが有効だと私は思っています。そのため、演習問題をレポートとして沢山出題していたのですが、以前は演習の授業でも私が解答を解説していました。そのため、学生には授業という長い内化の後に、家でのレポート作成という孤独な外化が待っていた訳です。内化と外化のサイクルは1回です。そこで、演習の授業は友達と相談しながらレポートを完成させる時間にしました。私の役目は、学生が完成した(と思っている)レポートの解答を確認して個別にダメ出しすることと、学生の質問に答えることです。この様にすれば、友達同士の内化と外化、教員と学生間の内化と外化が複数生まれ、その頻度が多くなります。また、学生の間違いや重要な質問は、授業内で学生全員に説明して共有するようにしました。これにより、学生の理解度は向上したのではないかと思います。