AM2〜3年次「半導体材料学」アクティブ・ラーニング&英語導入の取り組み

半導体材料学
2023.07.20

飯田努(先進工学部 マテリアル創成工学科 教授)

 マテリアル創成工学科の2〜3年次授業に設定される本講義では、半導体材料の種類、半導体材料の基礎的な物性、実際の電子デバイスに用いられる材料技術について概略的な知見を得ることを目標としています。

 授業のコンセプトとしては
 (1) 知識は必要、でも自分自身で考える姿勢は身に付いているか(学びの姿勢が重要)
 (2) 自分の学ぶ姿勢は確立できているのか
  (ここでの学びとは、ただ単に与えられた答えを探すための学びではない)
 (3) 理路整然と説明できるまで十分に学べるか
 (4) グループメンバーとの協働により、要素的内容に関する分担・自主的調査を実施できるか
 (5) 他人に分かりやすく説明するプレゼンテーションができるか
を設定してアクティブ・ラーニング方式の授業を行っています。

 図1はこの授業の実施スケジュールで、1~8回目は「個人アクティビティ」と称して基礎的な内容を個人で学び理解する期間としています。具体的には、本講義での最重要点をまとめた「半導体テーマ1~4」の内容について教員が4回に分けて解説(各回45~60分)を行います。この解説では、学生がアクティブ・ラーニングのフェーズに移行した時に道標となるような解説構成としています。受講者は各回の教員からの解説後、残りの時間で解説内容のまとめ、付随する周辺内容に関する調査とまとめを行いレポート提出します。

(図1)

 その後、「個人アクティビティ」での内容の復習かつ内容の掘り下げをしつつ、自身で調査した基礎内容を他者に説明できるよう発展展開するために8回目から「グループアクティビティ:Main Active Learning」へ移行します。グループアクティビティでは「半導体テーマ1~4」に関連する内容について以下のようなプレゼンテーションを実施します。
 (1) プレゼン資料(英語)の原案は教員が準備して受講者に配布する(全120シート程度)
 (2) 3名構成の班により作成したパワーポイント発表をする
 (3) 発表用パワーポイント資料は15~20枚程度(1名あたり5枚以上)で発表時間20分とする
 (4) パワーポイント資料内に記載されている英語用語は基本的に英語で読む
 (5) 資料に説明を追記する際の説明文と用語は英語で記入する
 (6) 日本語での発表の場合:手持ち原稿参照は[×]、英語での発表の場合:手持ち原稿参照は[○] (棒読みは×)

 教員が準備して受講者に配布したパワーポイント図面資料(一部)は図2に示すものですが、実際に受講者が作成した図表は図3〜4のようなものであり、配布した基本図を組み合わせたり、自身で探索した図表を加えたり、また、解説のために加えられた文言は努力の跡が見られるものも多くありました。

(図2)
(図3)(図4)

 発表に関しては8割程度の受講者が英語での発表に挑戦しており、当初の想定を上回るものとなりました。受講生によっては自身の発表全体を英語で行うのではなく半分程度を英語とし、残りは日本語で行う形式も散見されました。また、英語での発表については、プレゼン形式のものと英語参考資料などの文章を参照した説明口調のものが混在する形でした。

 従前の座学・到達度評価形式と異なる効果点としては、同じ講義を受けている受講生たちがグループワークを通して他メンバーの取り組み姿勢・方法を相互に見える化できる点や、他受講生たちのプレゼンテーションを通して到達レベルを相互に見える化できる点が挙げられます。その他の受講生からのフィードバックとしては、「日本語で要点をまとめ理解した内容について英語での調査・検討・発表が行えるのでスムーズに進められる」「自分でしっかり調べた内容について他の人がさらに詳しく解説するのを聞き理解が深まった」「元となる英語パワーポイントが準備されていたり、みんなが英語発表に挑戦するのを見て自分も頑張ろうと思った」などがありました。改善の要望としては、「発表時間が短いのでもう少し長くしてほしい」「扱う範囲が広くて英語の準備に時間が必要なので個人アクティビティを少し短くしてActive Learningの時間を増やしてほしい」などがありました。