一年生へのコンピュータリテラシー教育

コンピュータ1A
2019.10.22

高橋 芳行(理学部第一部 化学科 助教)
古海 誓一(理学部第一部 応用化学科 准教授)
 

 理学部第一部応用化学科で開講しているコンピュータ1Aは、一年生対象のコンピュータリテラシー教育を行う必修科目です。本学の充実したPC環境を生かして一年生全員がPCの実習を行い、PCを学修や研究に活用できるようになることを目的としています。内容は平易でTAを多めに配置した手厚い体制で実施しており、そのあたりが学生アンケートで評価が高かった原因ではないかと思いますし、PC端末を利用した実習という一般的でない科目ですので、このコーナーの趣旨に合致するかどうか分かりませんが、何かの参考になれば幸いです。

 社会の変化に対応して大学の教育も変化を求められていることからFD活動が進められているところですが、コンピュータをめぐる環境はとりわけ変化が速いため、本科目については設置当初から必然的に講義の内容や方法を見直し続けてきました。当初は化学系の学生のPCへの関心が比較的低く、また高等学校等でのPC経験にもばらつきがある状況でしたので、講義内容はPC入門的なものが中心でした。以来、毎年初回の講義においてPC経験について調査を行っていますが、年々のように経験者の比率が増大しており、調査結果に応じて講義や実習内容を改訂することが必要でした。加えて、コンピュータ教育特有の事情として頻繁なOSやソフトウエアのバージョンアップがあります。配布資料も講義内容も、その年にターミナル室のPCにインストールしてあるソフトウエアに合わせて改訂する必要があります。このような事情により、講義内容を頻繁に改定することを余儀なくされており、知らず知らずのうちに講義内容や配布資料が改善されてきた面があります。余談ですが、研究室で教員個人が使用しているPCに入れるソフトウエアもターミナル室のPCと同じバージョンに合わせ、ソフトウエアの設定はカスタマイズせずに初期設定のままで使用するようにしています。これは配布資料用のスクリーンショットを撮ったり、講義で説明する際に自身が混乱しないためですが、本当はWordでよく使う機能をメニューに登録したり、Excelのグラフ関係の初期設定を使いやすいように変更したりしたいので残念なところです。

 実習は受講生が端末にログインした状態で講義を行うので、大学で整備していただいているPC環境をなるべく活用するようにしてきました。現在は出欠席の管理や資料の配布、課題の提出、学生への個別な通知等にCLASS、LETUSを利用しており、以前に比べると大変スムーズに実習の運営ができるようになりました。特に、LETUSでは課題の提出状況がリアルタイムに分かる上、提出された課題を即座に閲覧できるので、その場で補足をアナウンスすることなどが可能です。まだLETUSの機能の一部しか使用していませんが、授業の形態に応じて多彩な活用が可能と思います。

 PCの使用方法など分かっているという学生はさっさと課題を済ませてしまいたいようですが、意外ときちんとは理解していないことがあるようです。本科目では実習前にPCの操作方法を実演しながら、配布資料を解説する講義を行っており、講義ならではの気付きということもあるようです。ただ、PCを使用した講義で気になるのは、教員と受講生の視線が合いにくいことです。そんな時に、リアクションの大きな学生がいてくれると、手ごたえが分かりやすくて助かります。イマキクなどリアルタイムなツールも面白いかもしれません。今後も、これらのICTツールを積極的に取り入れてゆくと共に、大学の講義のあるべき姿に相応しいICTの活用法を模索していきたいと思います。