90分間眠らせずに聴かせるにはどうしたら良いのか:2021年度にやったこと

分析化学1
2023.01.31

東達也(薬学部 薬学科 教授)

 薬学科1年生(約100名)対象の分析化学1(必修)を担当しています。この科目では分析化学の基礎、化学平衡と化学量論(に基づく定量)を学修します。式変形と計算がたくさん出てきます。学生の大半は「苦手だ」、「今一つ興味がわかない」と思っているでしょう。そんな学生達を毎回授業に出席させ(運悪く月曜1限です。ハッピーマンデーも関係なしです。)、90分間眠らせずに聴かせるにはどうしたら良いのでしょうか。

 2021年度の授業はPowerPoint/Zoomを利用したハイフレックス型で行いました。それに合わせて講義スライドを特に次の3点に注意して全面的に作り直しました。
1回の講義のスライド枚数は最大15枚。片面にスライドを4枚ずつ印刷しても十分に読めるフォントサイズで、かつ両面印刷すると紙2枚に収まるようにしました。学生は「これくらいの量ならばできる」と認識し、安心感を得ます。スライド枚数を制限することは、教える側にとっても内容を吟味するという良い方向に働くと思います。

スライドは穴埋め式で序盤が肝心。第1回、2回の授業は穴の数も一つの穴に書く量も少なめにして「これくらいの量ならばできる」と学生に再び思わせ、さらに「ここ重要!これだけ知っていればOK!まず書いてみよう!」と声をかけ、全員が取り組むように促します。ここが肝心です。第3回、4回と回を追うごとに穴の数や書く量を増やしていきますが、その頃には学生の方が穴を空けたままにしておくことが気持ち悪くなって、進んで書くようになります。重要な式やそれが導かれる過程も書かせます。眠る学生が少なくなります。なお、学生が穴を埋めるための時間を十分に取り、その間に説明はしません。

所々に国家試験問題や期末試験問題。授業途中での問題は学生にとって到達点が明確になりますし、こちらも学生の理解度を測ることができます。問題の解説後に正解した学生に手を挙げさせ、「優秀!素晴らしい」と褒め、できなかった学生には「今は学んだばかりだから気にするな。期末試験までにできるように頑張れ」と言い続けました。

 最後に私の取り組みの中で学生に最も好評なことは、授業の真ん中に3分~5分の休憩を入れていること(20年以上継続)です。学生はスマホをいじったり、友達とおしゃべりしたり……これがあると授業の後半も集中できるようです。