私の試み

経営科学概論、経営科学IIおよび演習、ゲーム理論、数理経営学 他
2019.10.21

梅澤 正史(経営学部 経営学科 教授)

 現在私が担当している科目には、1年生向け科目「経営科学概論」、2年生以降向け専門科目「経営科学IIおよび演習」、「ゲーム理論」、「数理経営学」などがあります。これらはすべて講義科目であることに変わりはありませんが、授業準備の仕方はそれぞれに異なります。特に、日頃の準備において、板書で行うかパワーポイントで行うかということで色々とプランを考えることがあります。この辺りの点について、誠に僭越ながら、私の授業に関する取り組み・試行錯誤について以下で掘り下げさせていただきます。

 私が教えている科目は、大きく2種類に分けて捉えることができます。数学・数理モデルに関する扱いや理解を習得することに重点を置く基礎系科目と、経営や経済に関する含意を教えることに重点が置かれる応用系科目です。ある科目内でも、内容によってこの2種類が入り混じることもあります。私はこの2つの観点で教え方を変えていることが多いです。もちろん、科目はこれら以外の観点からも分類でき、教員によって捉え方はそれぞれだと思います。

 基礎系科目・内容においては、数式処理をきちんと習得してもらいたいため、板書式の授業形態を取っています。板書は学生自身でノートを取り、じっくり考えながら受講する貴重な機会を与えることができます。ただ、気を付けているのは、数式ばかりにならないよう、できる限り「絵を描く」ようにしています。「絵」というのは、関数のグラフや表だけを意味するのではなく、状況をできるだけ視覚的に表現したものまでを指します(学生には笑われますが、いわゆる本当の絵を描くこともありますが)。絵を描く理由は、絵による視覚的理解は頭の中で内容をきちんと整理する助けとなるからということが1つです。また、授業中ずっと数式の羅列が続くよりも、受講生によってはこのようなワンクッションを設けることによって多少なりとも頭がリラックスし集中力が持続できるのでは(?)と期待しての試みでもあったりします。

 応用系科目・内容に関しては、伝えたいことが数式というよりも言葉として表現されるので、それをすべて板書してノートに書き取ってもらうよりは、内容の伝授に時間を割き、深い理解に到達してもらいたいと考えています。すべて板書していると進捗が遅くなることもあります。そのため、パワーポイント等を利用します。ただ、学会発表のようなスライド送りが続くだけでは学生は90分間集中力が続かないことが多いかと思います。そのため、内容をところどころ空白にしたスライド資料を配布し、授業中はアニメーションで追記表示したり板書で埋めたりしていきます。学生は空白箇所に書き込みながら受講します。こうすると、すべて板書するよりも早めに授業を進行させられ、残った時間で演習の時間を取ることができるメリットがあります。ただ、演習を多くさせようとして空白箇所を少なく設定することは必ずしも得策ではないようです。実際、以前このように試みたことがあったのですがうまく機能しませんでした。理由は、スライドが次々に進み、学生の理解が浅くなってしまったためです。演習を解かせてもほとんど解答できない様子でした。また、授業中あまり手を動かすことがないためか、眠そうにしている学生が多くなりました。そのため、書き込ませる部分の分量はある程度あり、緊張感を与えるほうがよいと今は考えています。

 最後に、授業は受講生のタイプ、クラスサイズ等の授業環境や状況は日々・毎年異なります。それら多様なケースに応じて、逐次柔軟に対応する必要があります。まだまだ試行錯誤を続け改善を試みたいと思います。