私の授業改善
高井 文子(経営学部 経営学科 准教授)
私が担当している科目の一つである「経営学概論Ⅰ」は、1年生を対象とする基本科目です。この「経営学」は高校までにない科目であるため、全員が「初習者」となるうえに、広範な経営学に関する内容を広く浅く扱うことになります。また、2年次以降、学生が研究室に属して専門を深めていくためのベースとなるため、「落ちこぼれ」が出ないように、学生の理解度を把握しながら授業を進めていかなければなりません。しかしながら、経営学部では2クラスに分けても1クラスの履修者が180名程度の大人数になることも多く、個々の学生とのコミュニケーションをとりながら授業を進めることは難しい状況でした。
そこで、私は4年前から「クリッカー」という端末を使用し、学生とのコミュニケーションをとりながら授業を行っています。クリッカーとは、学生一人一人に配布するリモコンのような端末です。端末には個別にキーが割り振られているので、学籍番号と対応させて毎回同じ端末を使用するようにすれば、個人の回答データが教員の方で把握できます。私は、一回の授業で5~10問程度の簡単な復習問題や、単元に関わる一般常識を問うクイズを四択問題にして出しています。90分の座学授業で、学生全員が集中を切らさずに聴講するのはなかなか難しいですが、10分~20分に一回程度クリッカーの質問が出てくるため、学生は気を抜かずに聞くことができるようです。「正解」「全体の回答結果」は、全員の回答後すぐに視覚的に把握できるので、学生からは「正解」が出るたびに歓声があがります。
またすでに記したように、個々の学生の回答結果がわかるので、数回ごとに成績優秀者を授業内で表彰しています。それが学生のやる気を出させると同時に、毎回のクリッカーの成績を平常点の一つの項目として、期末の成績評価にも使用しています。
また、もう一つの使い方として、毎回の授業の最後で授業の「難易度」を確認しています。学生がどういった単元に難しさを感じるのか、教員としてはそのような感性が失われがちですので、次年度からの授業運営や教材作成に非常に有益な情報となっています。
このクリッカー端末は、授業ごとに配布・回収しているため、手続きが煩雑となるのが難点ですが、現在、久喜校舎では講義履修者のうち希望者を学生アルバイトとして採用し、サポートをしてもらっています。こうした面については今後、スマートフォン端末などが利用できるなどのICT化が進んでいくにしたがって、改善していくことも期待されます。
このクリッカーを使った授業についての満足度は非常に高いです。今後も時代の流れに沿った工夫を取り入れることなどによって、授業改善の努力を行っていきたいと思います。