私の授業改善
清岡 智(理工学部 教養 教授)
野田キャンパスで一般科目・人間科学の体育関連科目を担当しております。私たちの授業には実技科目と講義科目があります。野田キャンパスの実技授業は、「仲間づくり能力」「コミュニケーション能力」を高めることを目的として展開しています。私の授業では、授業の最初にチーム(班)を編成し、同時に「結団式」を行わせるようにしています。円陣を組ませて、簡単な自己紹介だけでは余ってしまう時間を設定し、「時間を無駄にしないように」と告げ、デジタルのタイマーを回し始めます。だいたいどの班も自己紹介から入り、無難に始めますが(ひどい場合は誰も音頭を取れず、会話が始まらないケースもある)一回り終わると残り時間を気にしながら会話が途切れてしまう班が出てきます。「時間を無駄にしないで、とにかく会話を続けよう!」という私の叱咤激励で、学生は悪戦苦闘しながら何とかコミュニケーションを続けようと努力します。「シャイじゃ駄目だ!この授業で人付き合いを学ぼう」と言い続けながら授業を進めることにしています。数週間後、班の編成を組み直すときには「解散式」を行い、新たな班のメンバーで「結団式」が行われることになります。最後の授業の終了時に行われる「解散式」では、結構盛り上がってくれるようになり、私としては一安心といったところです。
講義『健康・スポーツ科学』では、運動処方をメインテーマにした授業をしています。「受験勉強で少し体力が落ちたかな」と思いながらも、まだまだ自分の「健康」について意識の薄い学生に、今から運動処方が必要であることを理解させながら講義を進めています。特に、健康に関連の深い体力要素(身体組成、全身持久性能力、筋力・筋持久力、柔軟性)を測定し、現在の健康度を意識させ、健康管理へのモティベーションを高めさせています。身体組成では、高精度の多周波数方式の体組成計や骨密度計を使って測定します。単に体脂肪率だけでなく、体幹・四肢の筋量のバランスなどを知ることもでき、自分の身体を見つめ直すことに役立っています。骨密度を学生のうちから知っておくことは、女子学生にとって閉経後の骨粗鬆症予防の観点からも重要となります。全身持久性能力は、授業時間以外に各自でトレーニング室に行き、エアロバイクを漕がせることにしています。これはトレーニング室を利用するきっかけづくりになることも期待しています。筋力・筋持久力、柔軟性は、高校まで行われてきている文科省の新体力テストと同じ測定を実施し、過去の自分との比較、同年代の平均値との比較で健康度をチェックさせています。そして、それぞれの要素の留意点を講義しながら、自分のデータを良くする(あるいは維持する)ためにはどうしなければいけないかを考えさせ、最後に自分自身の運動処方メニューを組み立てるレポートをまとめさせます。「健康」「生活習慣病予防」などと言っても興味を示さない学生にも、自分のデータを持って取り組ませることにより、かなり効果を上げていると感じています。昨今の流行り言葉がありますが、運動処方をいつやるの「今でしょ!」を学生たちに実感させる授業を今後も工夫していきたいと思います。