私の授業改善

「生物学概論」
2025.10.23

和田 直之(創域理工学部 生命生物科学科 教授)

 

 今回、学生の評価が高かったと言うことで、光栄な一方、着任時からさほど講義スタイルを変えていないので、どの点がポイントだったのかはあまり心当たりがありません。とはいえ10年以上も教えていると、教え方で要を得た面もあるだろうし、学生の姿勢も変化しているので、以前はあまり評価されなかった点が評価されるようになったかもしれません。以前に「配付資料がわかりやすい」と言われたことはあるので、以下、私が配付資料を作成するときに心がけていることをまとめます。

 コロナ前は、重要用語を空欄にした資料を配付し、スライド(板書)を書き写しさせる方式にしていました。この方式は、学生の様子を確認しながら進められるのと、講義が速くならない点で良かったのですが、配布用と講義用の二つの資料を準備する必要があって手間はかかりました。

 コロナ対応のオンライン講義では穴埋め講義は難しかったので、重要単語・文を色で示し、強調しながら説明する、一般的と思われる方式に変更しました。この方式は先の穴埋めよりは準備の点では楽ですが、講義進度が速くなりやすく、また内容が増えて詰め込みになりやすいと感じています。解消のために心がけているのは、1回の講義でのスライド枚数は60枚を目安とし、その中に前回の復習や当日の講義項目(目次)を何枚か挟んで、当日分の内容としては50枚程度、各スライド1分半〜2分程度で説明、としています。生物系講義では図など視覚に訴える内容も多いため、この量で丁度良さそうです。

 細かい点では、講義内の項目ごとに目次を出すことでこちらの時間調整がしやすいこと、学生側からは(講義終わりの)先が見える安心感があるようです。他には、教科書と講義スライド(配付資料)の対応がつくように、教科書ページや図番号をスライド中に明示しています。教科書改訂の時など少々面倒ですが復習はしやすいようです。

 授業改善ではありませんが、バリアフリーの点で配慮していることを述べます。強調語句・文を示す場合、一般的には赤文字が使われると思いますが、私は青文字にしています。一般に男性では20人に1人が色覚に障害があるとされ、多くは赤色と黒色の識別に困難が伴うようです。この場合、赤文字の代わりに青文字を使うと識別が可能になるようです。生物分野の講義は写真や図が多く、色数が多くなりがちで私の講義資料も例外ではないのですが、せめて説明文はバリアフリーにと考え、強調文字色は青で統一しています。