2024後期結果から:「建築構造⼒学1」
●授業担当教員
創域理工学部 建築学科 永野正行 教授
●ファシリテーター・分析者
教育DX推進センター長/教育支援機構教職教育センター 渡辺 雄貴 教授
●授業参観概要
実施日:2025年11月19日(水)4限
授業形態:対面
参観者:教職員 6名
「建築構造⼒学1」は学部1年生向けの専門基礎の必修科目。
後期開講の授業で、全15回のうちの10回目の「梁-等変分布荷重-」について講義。
●参観のポイント
永野先生より、次の参観前の説明があった。この授業の目的は、建物の構造設計の基礎知識となる構造力学を習得することとしている。1年生の必修科目で履修者数は126名である。小テストと演習を毎回実施し、授業中に板書をノートに書きとらせることで、学生自身の手を動かす環境を作りながら、理解を深めることを授業のポイントとしている。また、建築物の構造設計や超高層建物・免震建物の設計等、高度な内容を学ぶための基盤を形成する機会とする他、一級建築士取得のための基礎知識を習得させたいとの説明があった。
当日の授業内容で一番伝えたいこととして、梁の応力と荷重の関係は、構造力学の基本的な概念であること、設計に必要な知識として、M図(曲げモーメント)とQ図(せん断力)、外力・反力の関係を結びつけて学ぶことが、今日のポイントであることの説明があった。
続いて、渡辺教育DX推進センター長から、授業参観中には教員の授業内容や説明方法だけではなく、普段観察することのない学生のノートを取る様子等、学生の学修活動も参観のポイントとして着目してほしいことの説明があった。
●参観後のディスカッションとポイント
参観後のディスカッションでは、渡辺センター長がファシリテーターとなり、次のような点が長所として挙げられた。
(板書を中心とした授業デザイン)
能動的な学修を促す手段として(英語と同じで使わないと使いこなせないのと同じように)、理解を定着させるために学生自身が手を動かし、板書を書き写しながら理解度を高めていた。パワーポイントのスライド資料で全体構造を示し、板書でスライドの空白部分の詳細や補足を加味することで、板書を重要視しながらも役割分担を使い分けていた。
ノートをpdf化し、それをLETUSに提出することを複数回行い、板書の書き写しを含むノート作成を評価の対象にもすることが、真面目な学修態度の学生が多いことに繋がっていた。
(ICT・メディア活用の工夫)
パワーポイント+板書+タブレット+模型+カメラ等の複数媒体を、場面に応じて切り替えを行い、単調な講義を避け、場面転換を作っていた。これは、学生の集中力を維持する効果があった。また、複数メディアを適切に活用することで、効果的な役割分担がなされており、「何を伝えるにはどのようなメディアが最適か」という場面に応じたメディア選択が学生の理解度を高める効果になっていた。
抽象的でイメージがしづらい構造力学について、模型やカメラで具体的な動きも見せる工夫により、学生が「力の作用」や「モーメントの変化」を視覚的に理解することに繋がっていた。これにより、力学の概念と現実を関連性づけることになり、視覚化で理解を深める魅力となっていた。
関係する資料(パワーポイントの配布資料、小テストの解答、演習問題と解答)をすべてHPに掲載するとともに、前回の小テストの総括、次回の小テストの予告等も記載し、講義→演習→復習→小テストのサイクルにより、学生が復習しやすい環境を提供していた。
(評価方法の多様化)
小テスト・中間試験・到達度評価を組み合わせて総合評価を行っており、到達度評価のみでの評価ではなく、学修過程も評価することとしていた。また、講義ノートの提出も加味することで、学生の継続的な学修姿勢を構築し、学修プロセスを評価していた。これは、大学の成績評価における方針に沿った評価設計の実施となっていた。
多様な方法で評価を行うことは、学生の学修意欲の維持に繋がるとともに、小テストや中間試験による学生自身による理解度の把握と改善を促し、学修支援にも繋がっていた。
また、成績評価の際は、小テストの採点集計をスキャナーや専用ソフトを利用して一括でとりまとめ、ノートについてもPDFで提出しLETUSを活用するといったデジタル化により、教員の負担を効率的に軽減していた。
●参観した教員からのコメント
課題を含め、配付資料が丁寧に準備されており、配布資料の空欄部分を授業中に埋める等、学生の理解を深める工夫が感じられた。学生へ板書をノートへ書き写させることで、授業内での理解にとどめず、復習の時間にも効果のある授業設計になっていた。
また、ICTと板書を複合的に活用し、場面に応じて切り替えを行うことで、必修授業という全学生が必ず履修し、修得する必要のある授業として、理解を高める効果的な仕組作りがされていた。
●渡辺センター長の総括
最初に、授業設計に多様な配慮があり、効果・効率・魅力のバランスが取れていることが分かった。授業導入部で復習を行い、当日の授業の学修目標を事前に伝えることは、学生が学修準備を整える上で効果的であるため今後勧めたい。
他には、メディア活用と説明のトーン・テンポが分かりやすく、大規模授業での発声や進行は参考になった。
最後に、力学という分野が今後の研究室での研究や社会での実務内容とつながりがあることを具体的に説明する工夫もあったが、関連性といった点で学生の学ぶ意義に繋がり、授業の魅力となっていた。

[インタビュー日:2025年11月19日]
