2023年前期:「電気回路基礎」
●授業担当教員
和田 正義 (工学部 電気工学科 教授)
●ファシリテーター・分析者
教育DX推進センター TL部門長/教育支援機構教職教育センター 教授 渡辺 雄貴
●授業概要
「電気回路基礎」は学部1年生向けの専門基礎の必修科目。
全15回のうち、主に6回目の「微分⽅程式で表される電気回路」について講義。
授業形態:対面
参観者:教員7名
●参観のポイント
和田先生から、当授業の目標は、交流での電気回路の基礎として、複素数の扱いを習得するとともに、電気回路の複素数表⽰での取り扱い⽅を習得することである旨の説明があった。
当日の授業内容については、これまでの電気回路のモデル化を学んできたが、今日はその中でも一番最後の部分で、数学的な微分方程式での表現方法といった複雑で難しいところであると説明があった。本日のポイントとして、ものの動きといった挙動(アナロジー)と微分方程式の関係を含めて学んでもらうことであると付け加えた。
続いて、渡辺TL部門長から、授業参観中には教員の授業内容や説明方法だけではなく、参観者は、学生がどんなことをしているのかその様子もじっくり見てほしい旨の説明があった。
●参観後のディスカッションとポイント
参観後のディスカッションでは、渡辺TL部門長がファシリテーターとなり、参観者から次のようなコメントが寄せられた。
(授業の導入部分)
授業の導入部分で、前回までの学修内容に言及して、学生が思い出した上で、今回の学修内容について説明していたことで、授業内容のつながりを深められる結果となっていた。自分自身の授業でも簡単に取り入られる工夫であるため、参考にしたい。
(板書を多く利用し、式の過程が丁寧に解説される)
参観者から、120名程度の学生を対象にした授業であるが、全体的に式変形を行うときに、順を追ってテンポよく1つ1つ解説していた。分野外の教員でも数式と電気回路の関係が分かるような丁寧な流れの説明であった。
コロナ禍を経て、授業にスライドを利用している参観者は、補足のメモとして黒板を使用している。数式が出た際には、板書ではなくスライドで使用すると、つい早いスペースで話してしまい、細かい説明を省いてしまうこともある。自分自身の授業改善での振り返りともなったとの意見もあった。
(学生の反応を見ながらの授業展開)
授業中に、しばしば学生の反応を汲み取るように努め、学生の方をしっかり向いて確認していた。他の科目や履修済内容とのつながりを説明した上で、複雑な数式については適宜に説明を増やす等の双方向の対応をしていた。学生の理解を取りこぼさないような教員の丁寧な姿勢から学生も楽しく学ぶ姿が見られた。
授業後にも学生が積極的に質問に行く姿が見られ、普段から信頼関係を構築し、学生が質問しやすい雰囲気を作り出していることが伺えた。
●和田先生のコメント
今回は1年生の必修の授業であるため、板書中心であるが、その理由としては、板書を書く早さと数式を理解するスピードがちょうど適しているからである。3,4年生向けの専門科目等で具体的な図や写真が必要な時にはスライドを使用し、実際のサンプルを回付したり、授業内容により使い分けている。
他には学生の顔を見て、理解してないなと汲み取った際には、柔軟に説明を追加するようにしている。
授業の最初に前回の授業内容の確認と、授業最後で今回の授業内容の確認をするようにもして学修の定着化を図っている。
●渡辺TL部門長の総括
これらのコメントをふまえて、板書による効果的な授業スタイルで、書きながら数式を理解するために、ちょうどよいスピードであった。
導入部分では、当日の学修目標を口頭で説明した他、学修目標を板書にずっと残していた。学生も授業中に明確に意識できる工夫であった。
その他、他の教員と比較して、教員が学生の方に体を向けて授業をする様子が印象的であった。基本的ではあるが、黒板の方ばかりを向いて授業を行う教員もいる中、学生をしっかり見ながら授業をしていたため、学生に向きあって話しているという感覚を持たせていた印象であった。
【授業ダイジェスト動画】後日掲載予定
[インタビュー日:2025年5月27日]