私の授業改善

「ベクトル解析」
2026.05.29

阿部 智広(創域理工学部 先端物理学科 准教授)

 

「ベクトル解析」は創域理工学部 先端物理学科の1年生対象の講義です。同時期に学ぶことになる力学や電磁気学を理解するのに必要な数学を扱っています。

 

この講義を担当してしばらくの間は、この講義で扱う内容など電磁気学を学べば自然と身につくことなのだから、この講義は不要なのではないか?と考えておりました。しかし、しばらくしてそれは学生に対する過剰な期待であったことがわかりました。ある年の期末テストで、スカラー場の勾配ベクトルを求めさせ、結果を図示する問題を出しました。これは電磁気学で電位から電場を求めることに相当します。電磁気学で電場の概念には十分慣れているはずですのでボーナス問題のつもりでしたが、結果は散々でした。なんとベクトル場と位置ベクトルの違いがわかっていない学生が相当数いました。こんなことでは電磁気学など理解できているわけがない、と思い、次の年からは、ベクトル場を図示する方法を時間をかけて丁寧に解説するようにしました。同じ頃、等高線の概念をわかっていない学生がいることにも気づきました。これではスカラー場と言われても何も理解できないに違いありません。そこで最近は、スカラー場の導入の際にコンピュータで作成したきれいな図を講義中に見せるようにしています。毎年そういった感じで少しずつ改善すべき点を見つけては改善することを続けています。

 

ほかに気をつけていることとして、講義の途中でなるべく問題を出すようにしています。90分ひたすら話を聞いて板書を写して、というのはなかなか大変なので、少し作業してもらおうと言う魂胆です。問題を出したあと、教室を巡回して様子を見ていると、学生がどこでつまづきがちなのか、なんとなくわかります。多くの学生が間違っている点など、気づいたことは全体に共有します。この即時フィードバックは有効だと思っているので、講義中にたくさん問題をだしたいのですが、あまりやりすぎると講義が進まなくなるのが難点です。また、板書を写すのが遅い学生にとっては、板書に追いつくちょうどよい時間になっているようです。