私の授業改善

「ブランド論」
2026.05.29

新井 彬子(経営学部 経営学科 准教授)

 

 マーケティング分野の講義は、学生自身が身近に感じ比較的理解しやすいため学生からの人気は高い傾向があります。その中にあって、「ブランド論」は、英語由来の専門用語や抽象的な概念が多く、学生にとっては難解に感じられがちな科目です。特に、学生が関心を持ちやすい「どのようにブランドを構築するのか」というHOW TOが、学問としてのブランド論を体系立てて学ぼうとした場合、講義の初期段階では見えにくい点が特徴です。それでも本講義では、大学で学ぶ意義を重視し、まずブランド論の学問的な位置づけやマーケティングとの関係性について丁寧に説明することから始めています。そのうえで、定義や理論を教える際には必ず実務のケースとフレームワークをセットにするようにしています。

 

 ブランディングフレームワークを活用するうえで特徴的な試みとしては、学生同士での学びを促す点にあると考えています。例年、「理科大のブランド力を上げるには?」という、最も身近で共通の課題を例に分析フレームを埋めていきますが、学生の体験をもとにした課題の洗い出しや提案には、教員が学ぶ場面が多くあります。そういった良い事例は、学生に許可を取り、個人情報を伏せたうえで、部分的に次年度に先輩のお手本ワークの例として講義の中で紹介します。学生は対応力が高いため、自分たちが求められていることを明確に理解できるほど、期待を超えたアウトプットを作成することができます。例年160名を超える大教室講義でのワークの指導には試行錯誤してきましたが、単純に良いお手本を見せることで、提出物のレベルが標準化されました。さらに「お手本」が教員作成のものではなく、同じ講義を受講した先輩のものであることが、学生にとっては非常に重要なように感じます。

 

 講義後半ではグループワークを取り入れ、ブランディングにおけるクリエイティブな側面にグループで取り組めるよう設計しています。学生は関心のある企業を対象に、リブランディングの提案を行います。企業理念や成長戦略を、画像生成AIなどのツールを積極的に活用して、ロゴ、キャラクターといったブランド要素に落とし込み、具体化するのですが、AIツールを活用することで、学生自身が考えていた以上のレベルでアイデアを具現化できたという実感につながっているようです。提案は大教室講義であってもクラス内で発表・共有してもらいます。学生がクラスメイトから学ぶことの方が、経験・知識として定着しやすいことがあります。私の講義ではそういった学生同士での学びの機会を大切にしています。