私の授業改善

「機能形態学1」
2025.10.23

礒濱 洋一郎(薬学部 薬学科 教授)

 

 薬学部の1年生(薬学科,生命創薬科学科)の機能形態学1(必修)を担当しています。この科目は,薬の作用を学ぶ上での基礎となる身体の構造と仕組みを扱います。受講生にとっては、入学後に勉強すると予想できる内容の1つですので、モティベーションを高めることに苦慮する科目ではありません。しかし、高校での理科選択科目の違い(物理/生物)により受講生の予備知識に大きな差があるため、高校生物未学習者にも生物学的な知識を身につけていく上での考え方がわかるように心がけています。

①まずは「枕」から

講義では毎回、最初に3分程度の雑談をするようにしています。落語で言う「枕」で、例えば脳機能(記憶)を扱う回では「IQは約70%,先天的要因で決まるらしい」などと、調査研究の論文の内容を紹介するなど、できるだけ授業内容に繋がるものを選びます。しかし、相応しい話題がない時には時事問題や大谷選手の話をすることもあります。アンケートの自由記述では、この「枕」が最も評判は良いようです。

②覚えるべき情報はテキスト(文字)かイメージ(図)か

講義資料として投影するスライドを作成するときに最も重要視しているのが「文字」で記すか、「図」で描くかを明確に区別することです。枚数が多くなっても、1枚のスライドに入れるべき情報はできるだけ最小限とし、専門用語の定義など、復唱できる形で覚えて欲しいことは、辞書に記されているような短い文章だけを1枚のスライドにします。一方、全体像をイメージとして捉えてほしいものは図として作成し、できるだけ余計な文言は入れないようにしています。

③穴埋め資料と確認問題

授業中に配布(LETUSにアップ)する資料は、投影するスライドと完全に同じものではなく、大切なポイントは自分で記入させるように穴埋めにしています。受講生も手を動かさず聞いているだけでは眠たくなりますし、大切な用語ほど自分で資料に書き入れる作業をさせています。また、LETUS上には当日の授業内容を基にした試験の例題を「確認問題」としてアップし、模範解答は与えません。復習時にこの「確認問題」を解くために教科書や講義資料を見直し、正解を導く作業をしてもらうためです。

 

私の授業は、アンケートでは高評価をもらう一方で、試験の成績がそれほど伸びていないのが課題です。自己学習を促す工夫がもう一つ必要なのかも知れないとも感じています。