先進工学部・マテリアル創成工学科の菊池研究室では「バイオマテリアル」の研究を行っています。バイオマテリアルとは、人体に役立つ材料のことです。
たとえば、コンタクトレンズや人工血管は、人体の機能を補う・置き換える働きをしているバイオマテリアルです。
また、病気やけがの治療・診断に役立てられるバイオマテリアルもあります。病気になったとき、体内で変化する物質のことを「バイオマーカー」といいますが、このバイオマーカーだけを検出するバイオマテリアルを活用すれば、インフルエンザやがん検診も自宅で簡単に行うことができます。病気を早期発見できれば、完治の可能性が高くなり、治療費を抑えるのにも役立つでしょう。
このようなバイオマテリアルの研究を通して、医療の進歩と、多くの人の健康に貢献することが菊池研究室の目標です。
菊池研究室では現在、バイオマテリアルの特徴を生かした薬を効率よく体内に届ける2つの研究を進めています。
1つは、骨を再生できる「ハイブリッドマテリアル」の研究です。ハイブリッドマテリアルとは、薬物を包んだ「コアセルベート」という物質を骨と同じ成分で覆ったカプセルのことです。これを骨粗鬆症の骨に投与すれば、カプセルの外側は骨になっていき、同時に内側から薬が放出されて、骨の再生を促してくれます。
もう1つは、体内での薬の働きをコントロールする「ドラッグデリバリーシステム」の研究です。
たとえば、がん治療に使われる薬物は、本来の薬効と同時に副作用のリスクがあることが課題です。しかし、薬物をハイドロゲルで包み込んで、がんの周辺で少しずつ放出させたり、薬物を包んだゲルを患部に直接貼ったりすれば、副作用を抑えることが期待できます。
画期的なバイオマテリアルは簡単には見つからないものですが、菊池研究室では「ものづくりの楽しさと奥深さ」を味わいながら、医療を革新する未知の発見を目指し続けています。この積み重ねは、2030年に向けたグローバルな目標の1つである「健康と福祉の推進」にもつながっていくでしょう。
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主な研究内容
グリーン水素の製造、利用技術を確立し、
CO2を出さない社会を目指す。
総合研究院 カーボンバリュー研究拠点
理学部第一部 応用化学科
工藤昭彦教授
総合研究院 カーボンバリュー研究拠点
工学部 工業化学科
田中優実准教授
2023年03月27日