2021.09.01
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差し迫る環境保全ニーズのなか、食と健康へアプローチ

近年、都市や産業の発達の影響を受け、化学物質が自然界に流出したり、温暖化により異常気象が発生したりする問題が増えています。こうした急激な環境の変化は、人々の食と健康を脅かす事態へと発展しかねません。環境への対策は、世界規模で早急に対応すべき課題なのです。

生物環境イノベーション研究部門では、植物や生物の生態系や多様性の保全とともに、将来の食と健康を確保する技術に貢献することを目指しています。

部門内には主に3つのグループがあり、生物が環境に適応する仕組みを調べる「環境適応分野」、生命の進化や多様性について紐解く「分子進化分野」、化学物質の環境内での動きや影響を調べる「自然共生分野」に分かれて、それぞれ研究を進めています。

他大学も参加しての活発な研究が未来を拓く

生物環境イノベーション研究部門では、国内外、学内外の壁を取り払うことで、研究者同士の連携を強めています。また、食と健康を守る技術を社会に提供しながら、生態系や生物の多様性の保存に役立つ知見を集積させています。

たとえば宮川准教授は、身近な医薬品や化粧品などに由来する化学物質が生物に与える影響について、他大学と共にプロジェクトを進めています。

また坂本講師は植物の環境適応の仕組みを研究し、土壌の成分が植物にもたらす影響や植物の環境ストレス耐性などを調査する一方で、研究院の別グループにも参加して知見を広げ、農業の生産性向上に生きる研究を行っています。

生物環境イノベーション研究部門には20の研究部門があり、多くの研究が連携を図りながら同時に進行しています。さまざまな専門分野の知が結集すると、これまでは個別に発展してきた研究が融合し、新しい学術領域が広がるのです。

生物環境イノベーション研究部門では研究者同士のつながりを大切にしながら、環境変動に対応していくための研究を行い、環境保全と食と健康を守る活動を進めています。

生物環境イノベーション研究部門

■ 主な研究内容

環境適応分野・分子適応分野・自然共生分野」の3つサブグループからなる組織で、大学や企業などの垣根を超えた共同研究を進めている。地球規模の環境変化のなかで人類やそのほかの生物の多様性や生存のための科学的道筋を模索している。

先進工学部 生命システム工学科
宮川信一准教授

■ 主な研究内容

環境要因が生命の発生や性分化に及ぼす影響、環境ホルモンや性ホルモンに対する生物の応答性、評価法をテーマとして、分子生物学や発生生物学の手法を用いて研究をしている。

理工学部 応用生物科学科
坂本卓也講師

■ 主な研究内容

植物における染色体配置制御機構や植物の栄養ストレス応答の機構などをテーマとして、植物分子生物学や生理科学の分野での植物の環境応答・適応の仕組みを研究している。

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