2020年に発生した新型コロナウイルスの流行は、あらゆる社会活動に影響をもたらし、理科大もキャンパスを一時閉鎖せざるを得ない状況に追い込まれました。
この事態を受け、教育担当副学長のもと、渡辺雄貴教授らによる授業代替案検討会が開かれました。そこで渡辺雄貴教授らが最も重視したのは、「安全を第一にしながらも学びを止めない」ことでした。
この授業代替案検討会で話し合われた内容をもとに、理科大では2021年より「ハイフレックス型授業」への移行を始めています。ハイフレックス型授業とは、1つの授業を対面とオンラインで同時に行うことです。文字通り、「ハイブリッド(掛け合わせる)」「フレキシブル(柔軟性)」な授業方法ということになります。
学生は自身の状況に応じて、対面かオンラインのいずれかを選んで受講することができます。この授業の多様化により国外に滞在している留学生や、通学に不安を感じる学生も、公平な学びの機会を得ることができるようになりました。
また、理科大では、理工系大学の授業に欠かせない実験や実習にVR(仮想現実)を活用することも検討しています。
感染症だけでなく、災害や個人のケガや病気など、どんな状況になっても学生が学びを止めない環境づくりは重要です。そのためにも教育のデジタル化は必須であり、未知の時代への挑戦ともいえるのです。
理科大には、研究者だけでなく教育者を目指す学生も多くいます。こうした学生たちに向けて、渡辺研究室で行っているのが「教育工学」「インストラクショナルデザイン(教授設計)」の研究です。
渡辺教授は、学びの形が時代によって移り変わっていくなかでも、学生たちには「自立的な学習者」になっていってほしいと考えています。
学びとは本来、能動的であるべきものです。教えてもらうのを待つのではなく「自ら主体的に考えていく力」を身に付けることで、学びはより深まり、社会で役立つ問題解決能力も高められます。
そのため、授業はアクティブ・ラーニング(能動的学習)を主体に行っています。
今後必要なことは、オンライン授業の可能性、そして対面授業ならではのメリットを研究し、新しい時代の大学教育を追求することだと渡辺教授は考えています。そのなかで優秀な教育者を育て、理科大の「知の体系」をしっかり定着させていくことを目指しています。
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主な研究内容