2026.09.07

異なる分野の知識をプラスし、自らの武器にする。 

理工学部創設50周年にあたる2017年、分野を超えて教育・研究を推進する横断型コースが大学院に導入された。そこから続く創域理工学研究科横断型コースは、イノベーションの実現と高付加価値を持った成果を目指したコース運営を行っている。6つのコースから始まり、現在は、医理工学際連携、農理工学際連携、宇宙理工学、人間安全理工学、エネルギー・環境、防災リスク管理、デジタルトランスフォーメーション、教職の8コースがある。今後はさらに新しいコースの設置も検討されていて、時代の要請や教員の研究の変化に対応し、柔軟に形を変えていくことになるそうだ。横断型コースと比較されやすいものに6年一貫教育コースがある。これは、学部から修士までの6年間を効率的につなぐことで専門分野をより深化させる仕組みだが、この二つは二者択一ではない。6年一貫教育コースで自専攻を深く学びながら、自身の興味や進路に向けて、さらに広い分野の知識をプラスするための仕組みが横断型コースである。 

近藤教授

地球環境のための学問分野を越えた学び。 

地球温暖化抑制と持続可能な社会の実現という大きなテーマに取り組んでいるのがエネルギー・環境コースである。現在は、数理科学専攻、建築学専攻、先端化学専攻、電気電子情報工学専攻、経営システム工学専攻、機械航空宇宙工学専攻の教員と学生が参加。素材からデバイス開発、システム提案、さらには全体の評価・検証にいたるまで包括的に学修、研究している。近藤教授は言う「研究室では、物理的・化学的に安定した導電性ダイヤモンドを開発し、燃料電池の触媒や汚染水の浄化など、社会的課題の解決に向けた応用研究に取り組んでいます。しかし、地球温暖化の抑制という目標に挑むには、材料だけでなく、水素をどうクリーンかつ低コストで供給し、効率よく蓄電して使うのかといったトータルな視点が必要です」。発足当初、近藤教授は横断型コースの教員として加わっていなかったが、学生の強い要望を受け、またコースの理念に共感し参加を決断した。そうした主体的な意欲を持つ学生が集まるからこそ、研究室の枠を超えた活発な交流が実現している。そこから、学会発表へとつながった下水汚泥を用いた水素製造技術の導入シナリオ分析など、社会実装を見据えた成果が生まれている。 

授業風景

イノベーションを実現し成果を社会に還元できるトップダウンな洞察力を。 

一つの狭い分野に閉じこもるのではなく、エネルギーの川上から川下までを俯瞰するトップダウンな洞察力を養うことこそが、エネルギー・環境コースのメリットである。学生たちは、エネルギーシステム工学特論の講義を通じて、理学・工学の諸分野それぞれの観点から、持続可能な社会に必要な基盤知識を修得。同時に、実践科目のエネルギー・環境セミナーを履修する。ここでは異なる専攻の学生たちが自身の専門知識を掛け合わせ、共同研究のテーマ案を作成するグループワークに取り組む。さらに企業の研究者を招いた特別講演や、互いの研究を厳しい目で評価し合うポスターコンペでの成果発表を経験し、社会で即戦力となる課題解決力を磨く。近藤教授は言う「一人の人間がすべての知識を広範に身に付けるのは簡単ではありません。だからこそ、隣の分野で何がどこまでできるようになっているのかという可能性や限界を知っておくことが、将来の強力な連携につながります」。地球環境という大きなテーマに挑む、着実な一歩がここから始まっている。

創域理工学研究科 横断型コース エネルギー・環境コース

創域理工学部 先端化学科
近藤 剛史 教授

■ 主な研究内容

専門分野は、電気化学、材料化学、表面・界面科学。
ダイヤモンドの特性を生かした新規機能性材料の開発などにより、燃料電池の効率化や汚染水浄化など、社会課題の解決を目指している。

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