2020.06.30
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太陽光発電が抱える課題に向き合う

地球温暖化が問題視されている今、自然環境を活かした「再生可能エネルギー」に注目が集まっています。再生可能エネルギーとは、永続的に利用できると認められたエネルギーのこと。風力、水力、地熱などが挙げられます。なかでも最も注目されているのが、太陽光を利用したエネルギーです。

資源に限りがある石油や石炭とは異なり、太陽光は半永久的に使い続けられるエネルギー。しかも、太陽光発電は発電時に地球温暖化の原因となるCO2を排出しないという特徴があります。また、広い土地や大がかりな設備が必要となる風力や地熱エネルギーに比べると、日が当たればどこでも発電できるという手軽さがあります。しかし、小さな面積では太陽光発電で供給できる電力量はごくわずかですし、夜間は発電できません。そのため、太陽のエネルギーを効率的に蓄え、使える新しいシステムの開発が求められています。

この課題に取り組んでいるのが、工学部 電気工学科の植田研究室です。
「発電量が変化する太陽光発電を、どうすれば天気任せで効率よく安定的に電源として使いこなせるか」「そのエネルギーをどのように人々の暮らしにフィットさせるのか」などを考えるため、植田研究室では3つの視点で研究を進めます。

[ 1 ] 太陽電池や周辺機器の評価
・天気や地理、技術の違いによって異なる発電量の調査
・機器が健全に、かつ安全に作動しているか確認できるモニタリングシステムの開発

これらの評価を通して、太陽光発電で日々どのくらいの発電量が見込めるのか、ある程度予測を立てることができるようになります。予測を立てることで、余剰電力を無駄にせず使うことができます。
予測は中長期的なものにとどまらず、明日の天気に応じた発電量の予測までもを可能にするのです。

[ 2 ] 電気を使いこなすための制御モデルの開発
・住宅や地域、時間の違いによって異なる使用量の調査
・余剰電力を売買するアグリゲーター(電力の需要と供給のバランスを取る事業者)の分析

電気は大量に貯めることが難しく、発電量と使用量のバランスをできる限り保った状態にしておく必要があります。ところが、太陽光発電では昼間しか発電できず、実際に電気を使用する時間は夜が多くなります。
そのため、植田研究室では発電量、使用量のバランスを保つための制御モデルを開発しています。この制御モデルは住宅や地域ごとで違った最適なものを提案しています。

[ 3 ] 太陽光発電を大量導入するための研究
太陽光発電を大量導入するためには、システムへの入力エネルギーである日射量を知り、どのくらいの電力を得ることができるのかを把握する必要があります。また、これらの電力が電力システムに与える影響も評価する必要があります。
植田研究室では、1分毎に計測・データを収集し、高度なデータ解析をする手法を開発しています。このデータ解析を実現することは、太陽光エネルギーを大量導入するための一歩となります。

夢は「カーボンニュートラル」の実現

「快適な暮らしのために昼間の電気代を安くしたり、余剰電力を融通し合って無駄なく使えるようにしたりなど、電気の使い方にさまざまなアイデアを取り入れることで、太陽光発電への意識をもっともっと変えていきたい」と植田教授は語ります。
植田研究室の研究によって、いつの日か全ての人が手頃でクリーンな太陽エネルギーを確保できるようになれば、持続可能な社会の実現は夢ではありません。

CO2の排出量の多さが原因で地球温暖化が進む今。植田研究室では、CO2の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状態になる「カーボンニュートラル」を目指し、太陽光発電の消費量を上げていくことを最終目標に掲げて研究に取り組んでいます。

工学部 電気工学科
植田譲教授

■主な研究内容

研究分野は、電力・エネルギー工学、太陽光発電システム。電力変換・電気機器(太陽光発電、分散型電源、エネルギーマネージメント)・電気工学と再生可能エネルギーに関する研究を行っている。

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