今の日本が抱えている課題のなかでも、「介護」は特に大きなものの1つです。日本は超高齢化社会が目前に迫っており、2025年には3人に1人が65歳以上になるといわれています。そのなかで、「要介護者を誰が介護するのか」「増えていく介護費用を抑えるために何をすべきか」といった問題が、一気に表面化してきているのです。
そこで、経営学部 ビジネスエコノミクス学科の菅原研究室では、日本の介護の経済分析に取り組んでいます。「社会福祉・社会保障の財源が限られている中で、誰もが幸せに暮らしていくにはどのような介護のあり方がベストなのか」を考えているのです。介護にかんするお金がどのように動いているか、どのくらい効果を上げているかなどをデータから調べることによって、施策に理論的な裏付けをすることができます。
分析に使用するのは、「介護レセプトデータ」です。介護レセプトとは、介護サービスにかんする支払い情報、つまり介護のレシート情報のことをいいます。
ただし、これらは特定の情報を調べるために「集めた」データではなく、単に「集まってしまった」だけのデータなので、この中からいかに有用なデータを取り出すかが、研究者の腕の見せ所です。菅原研究室では、「パターン認識」という機械学習の1つを利用して、意味のあるデータを取り出すことに成功しました。
介護レセプトデータには、介護保険を利用している人の80%ほどのデータが集まっています。人数にして約500万人分のデータが120ヶ月分ほどあり、並び替えるだけでも3日はかかるほどのビッグデータです。これらのデータを取り扱うのは大変なことですが、それでも根気よく向き合うと、そこからはさまざまな真実が見えてきます。
今の制度による介護の実態を最もよく知るのは現場ですが、その現場の声は周囲に届きにくいのが実情です。だからこそ、データを分析して実態を明らかにすることで、周囲にも問題が認識され、具体的な解決へとつなげることができると菅原研究室は考えています。
介護の問題に取り組むことは、「3.すべての人に健康と福祉を」という、SDGsの世界目標とも重なるものです。今後も、介護にかんする制度やその実績を正しく評価して、政策提言につなげていきたいと考えています。
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主な研究内容
国内外・学術分野も超え
「水」を研究するウォーターフロンティア研究センター
ウォーターフロンティア研究センター
工学部 機械工学科
元祐昌廣教授
理工学部 先端化学科
酒井健一准教授
2021年09月01日
総合研究院 スペースシステム創造研究センター
創域理工学部 電気電子情報工学科
木村真一教授
総合研究院 スペースシステム創造研究センター
創域理工学部 先端化学科
酒井秀樹教授
総合研究院 スペースシステム創造研究センター
先進工学部 マテリアル創成工学科
勝又健一教授
2023年04月07日