2020.06.26
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経験がなくても利用できる栄養管理システムで牛の出産率アップを目指す

減少傾向にある日本の牛の飼育頭数。特に、肉用の牛は繁殖がうまくいかず、初回の人工授精受胎率も下がっているのをご存知でしょうか?

その原因には、人工授精の技術不足や授精時期などが考えられます。
さらに、繁殖に影響する病気には、エサの量や栄養バランスが大きくかかわっていると考えられています。そのため、牛の状態に合わせ適切な栄養管理をしていくことは重要な課題です。

これまで牛の栄養管理は、目で見て、手で触って確認する「視診触診」が行われてきました。しかし、見て触った感覚だけで栄養状態を判定するには、熟練した技術が必要になります。つまり、経験豊かな飼養者がいないと成り立たないのです。

そこで基礎工学部 電子応用工学科 相川研究室は、AIを活用した栄養バランスの取れたエサを管理するツールを開発しました。

酪農農家では、すでにリモートセンシング技術やAI、クラウドシステムといった情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)を活用した牛の飼育が行われています。牛の体を傷付けることなく、牛の栄養状態を評価するツールです。ただし、この装置は乳用牛のみに使えるもので、肉用牛には使えません。
そのため、相川研究室は「乳用牛・肉用牛のための」栄養状態の評価と最適化技術システムの開発をしたのです。

AIを搭載の自動給飼システムを広めて未来の酪農と畜産を守る

まずは、牛の体に傷を付けることなく栄養管理状態を客観的に評価できる方法を確立して、そこで得られた数値や繁殖成績を学習データとしてAIに解析させます。さらに繁殖の各段階に応じた栄養状態の最適値を出して、「新たな指標」として活用していくのです。

この指標を元に、相川研究室は牛の栄養状態を考えて自動で飼料の量を調節する「自動給飼システム」を開発しました。

牛の栄養状態を管理して、安定した繁殖率を維持できるようになることは、国内の酪農や畜産業者の負担を減らし、安定的で安全な食の供給に繋がることでしょう。
そのためにも、相川研究室はAIを活用した自動給飼システムの普及を目指して、日々研究を進めています。

先進工学部 電子システム工学科
相川直幸教授

■ 主な研究内容

研究分野は電気学、電子情報通信学。ディジタルフィルタの設計や音響処理、画像処理、脳波、E-learning、通信システムなどの研究に取り組んでいる。

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