2019.12.26
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水にまつわる問題を抱える「水の世紀」。解決手段のひとつは、水の浄化技術

「20世紀が石油をめぐる争いの時代だったなら、21世紀は水をめぐる争いの時代になるだろう」これは、元世界銀行副総裁のイスマイル・セラゲルディン氏が、1995年に述べた言葉です。

実際に21世紀へ入った今、地球は深刻な水不足に直面しています。
爆発的な人口増加と、都市部に人口が集中することによって起こる、水需要の拡大。
発展途上国の工業化・農業化による、水使用量の急増。
ほかにもさまざまな原因から、世界人口の約4割が水不足に苦しみ、安全な水を利用できずにいる、まさに「水の世紀」へ突入しているのです。

この問題に対する取り組みの中でも、「水の浄化」は、水質改善と安全な飲料水の供給という面で重要な課題のひとつです。

ありふれた物質「鉄サビ」に光のエネルギーを組み合わせ、パワフルに水を浄化

理科大では、「光触媒(ひかりしょくばい)」による水や空気の浄化技術を研究しています。光触媒とは、光を当てると化学反応を起こしやすくなる物質のこと。この反応によって、ほとんどの有機物を分解することができるので、環境浄化材料として注目されているのです。

特に、基礎工学部 材料工学科の安盛・勝又研究室では、光触媒として「FeOOH(オキシ水酸化鉄)」に着目して研究を進めています。
FeOOHは、地球に豊富にある鉄、酸素、水素で構成された、いわば「鉄サビ」であり、大昔からごく身近に存在しているものです。
そんなありふれた物質であるFeOOHですが、光を当てると、工業・農業などで出る廃液を浄化しつつ、水素を生成できることが分かりました。
この技術が将来、水の有効利用に役立てられれば、問題解決の一歩につながるでしょう。

今後は、FeOOHと光のエネルギーに、ガラスや微生物を組み合わせた研究を行っていきます。この研究によって、マイクロプラスチックや医薬品の残留物など、分解が難しい物質をも分解することができるでしょう。
そして、水質を浄化し、有価物を生み出すという、いわば「物質循環」に挑み、地球問題の解決を目指します。

先進工学部 マテリアル創成工学科 
勝又健一准教授

■ 主な研究内容

研究分野は、無機工業材料 (環境浄化、光触媒、ナノシート、抗菌材料)。地球環境にも配慮した、すぐれた工業材料を生み出す研究を行っている。

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