2019.12.17
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数学教育の普及に取り組む「数学支援プロジェクト」が始動

経済協力開発機構(OECD)が調査した、世界各地の15歳を対象にした幸福度調査で「生活に十分満足している」と答えた割合が最も高い、ドミニカ共和国。キューバの隣のカリブ海に浮かぶ小さな島国です。

そんなドミニカ共和国のダニロ・メディーナ大統領が掲げる重要政策のひとつに「人材育成及び、教育と教員の質向上」があります。ドミニカ共和国日本大使は、日本の国際協力機構(JICA)とともに「数学支援プロジェクト」を立ち上げました。
そこに、支援者の1人として参画するのが東京理科大学 特任副学長 秋山仁教授。

2017年からの3年計画でスタートした「数学支援プロジェクト」。1年目は「数学の面白さや有用性を伝え、多くの人に数学に関心を持ってもらう」ことを目標に掲げて取り組みが進みました。秋山教授は、首都に建設される数学博物館に展示する作品の制作、それらのスペイン語の解説書の準備、各種の数学講演を行いました。

2017年11月24日、秋山教授はドミニカ共和国に到着。その後2週間にわたり、数学博物館やサントドミンゴ工科大、サントドミンゴ自治大学などへ連日出かけて教員研修や学生対象の講演・講義を行いました。各地で行う数学ショーは、現地の小・中学生をバス十数台に乗せて大学に集めて講演をする機会もあり、どの会場でも立ち見が出るほどの大盛況で終えました。

講演に参加した子どもたちは、何か質問を投げかければほとんど全員が挙手をし、ニコニコして積極的に参加してくれました。答えが間違っていても、まったく気にする素振りを見せません。
そんな子どもたちの姿を見て、ドミニカ共和国の先生や大人たちは、普段から伸び伸びと授業に参加できる環境を作っていることを感じ取れたといいます。

教育者が心がけるべき、「幸福感」と「無償の愛」

「数学支援プロジェクト」を実践する秋山教授は、プロジェクトに参加する両国の人々や、ドミニカ共和国で暮らす人々との交流を通じて、多くのことを学び、人生観が広がったといいます。
そこで何にも増して大切なことだと思い起こされたのが、子どもたちが「生まれてきてよかったと思えるような社会が大切ということ。
玩具やお菓子、洋服などはあった方がよい。しかし、それ以前に「どんなときでも自分の存在を認め、温かく無償の愛を実感できている」ことこそ、幸せの根源なのだと感じたそうです。

算数や数学の学習は当たり前のこととされている日本。秋山教授は、改めて数学を学ぶ意義や目的について考えさせられるきっかけといいます。数学を通して人々を幸せにできるようにと、今後もプロジェクトへの取り組みを行っていきます。

特任副学長 
教育支援機構理数教育研究センター長 
数学体験館・近代科学資料館館長 
秋山仁教授

■ 主な研究内容

研究分野は離散数学(離散幾何学、多面体、グラフ理論)

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