2024.08.22
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AI人工知能の進歩を支える人を育てる授業。

AIを抜きにして、今の社会を語ることはできない。ゲーム機やスマートフォン、家電品、自動車などの製品はもちろんのこと、金融や医療、教育、農業などの分野へも広がり続けている。「現在の産業の中心は、情報やデータになりつつある、ということに尽きるのかなと思います」と入江准教授。そうした状況を反映して、ゲームやスマートフォンなどに興味を持つ人が多くいて、 また、AIを社会に実装できる人材も求められており、それを学ぶことができる情報工学には人気が集まっている。ここで紹介する『情報工学実験3』は、理科大で A Iを学ぶために欠かせない実験を中心とした授業だ。入江准教授は言う「情報工学科というのは、実践を学ぶところだと思います。理論はもちろん大切ですが、実際にやってみないと最後まで分かったということにはなりません。この授業は、3年生を対象としているので、より専門性の高い実験課題が設定されています。そういう意味では、社会で実践的に使える可能性が高いと思っています」。

コンピュータの目や耳を実現する技術分野を学ぶ。

『情報工学実験3』では、専門的・実験的な4つの課題が設定されている。入江准教授はそのうちのパターン認識の担当である。「パターン認識とは、画像認識や音声認識といったコンピュータの目や耳を実現する技術分野です。AIの爆発的な進歩と普及をもたらした“第三次AIブーム”をつくり出した学問領域のひとつになっています」と入江准教授。その用途は、指紋認証や顔認証などのセキュリティ分野。その他には雲の写真を集めて天気予報に利用したり、衛星写真から潮の満ち引きを監視したりなど、さまざまな分野へ広がり続けている。技術の基本は、画像や音声などをコンピュータで正しく識別するところにある。授業では、簡単な識別器の制作が行われていた。識別器といっても、もちろん製品をつくるのではなく、コンピュータを動かすためのプログラミングを行うのである。例題として使われていたのは、たくさんの人が書いた0と1の数字の画像。それを、コンピュータに正しく0なのか1なのか識別させるのである。

実践的な能力と理論、両方の理解が将来の力になる。

入江准教授は、『パターン認識』という座学を中心に理論を学ぶ授業も担当していて、学生は理論と実践のセットでAIに必要な技術分野を学ぶことができる。今後、さらにAI の進歩が予想される。それを担う人材となるためには、高度な知識と技術の習得が欠かせない。それに加えてさらに必要なことがある。「実験は正解があってないようなものです。期末に行うポスター発表では、100人いたら100とおりの答えが出る課題になっています。ですから独創性や多様性など今の社会が重視している価値観を養う機会になっていたらいいと思っています」と入江准教授。理科大工学部のある葛飾キャンパスは、イノベーションキャンパスと位置付けられており、情報工学科においても分野横断的な経験を積める環境にあるという。入江准教授は言う「情報工学の分野は、今、売り手市場と言ってもいいでしょう。だからこそ、自分に合った自分なりの進む道を考えながら、学んでいってほしいと思います」。社会のイノベーションを考えるとき、AIへの期待は高まるばかりだ。

工学部 情報工学科
入江 豪 准教授

■ 主な研究内容

専門分野は、計算機科学、メディア工学。より賢く、役に立つAIの実現に向けて、パターン認識、機械学習 など、情報処理技術を研究している。

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