異なる学科・専攻の2つ以上の研究室が参画することを条件に募集し、採択されたプロジェクト。初年度に始動した8プロジェクトは2024年3月に期間を満了したばかりだ。各プロジェクトは、さまざまな枠を超えることでどのような化学反応を目指し、そして起こしたのか。3つの取り組みをピックアップして紹介する。
ダブルラボとは、創域理工学部数理科学科の先端数理系に属する4年生が、学科での卒業研究と並行して、他学科協力研究室での卒業研究に参加する教育プログラムである。創域の芽プロジェクト『数理科学科ダブルラボの発展』では、その対象を4年生以外にも広げて、ダブルラボをさらに発展・拡充するための活動を展開している。2022年度には、数学と他分野との共創の経験が豊富な学外の研究者による講演会を行った。パネルディスカッションでは、ダブルラボ成功のための助言・提言をもらい、学生たちにとってはダブルラボ参加への啓蒙となった。ダブルラボは、分野や学科横断的な創域の芽を育むことができる理科大独自の教育プログラムとなっている。それをさらに発展させていくためのプロジェクト活動は今後も続いていく。
次に紹介するプロジェクト『機電材料系学科・専攻を超えた学生間による企業研究』では、企業研究や業種・業界研究を通して、さまざまな業界がボーダレス化し、領域融合していることを実感・体験することを目指した。「エンジニア職セミナー/学びがつながる世界」などをテーマとして、外部の専門家による講演会と併せて、アプリの試用、モジュールの試作、グループディスカッションなどを行った。各業界の研究開発や仕事の流れに触れるだけではなく、多くの学科の学生が交流することで、専門分野の異なる人との協働を経験し、異なる分野の技術や思考方法に触れる機会にもなった。創域を社会へ広めていくのは学生たちに他ならない。その後押しのためにも、こうしたプログラムは有効となるだろう。
創域理工学部のある野田キャンパスに隣接する創立100周年理窓会記念自然公園(以下、理窓公園)は、2018年に日本生態系協会賞を受賞した。この緑を舞台に、机上では学べないことを共に学ぶことを目的として、経営システム工学科の伊髙講師と生命生物科学科の朽津教授は『野田キャンパス理窓会記念自然公園における環境教育』プロジェクトに取り組んでいる。これまで、「ナラ枯れを事例に森林環境について考えよう」「ドローンで森を測る」などのイベントを実施。近隣の市民へ向けた講演会なども行ってきた。理窓公園の維持には、本学教員や学生団体、地元自治体など多くの人が関わっている。そうした人々と共通認識を持って森林管理の長期的計画を立案・実行していく予定である。垣根なしに人を巻き込んで森林管理を行うという、新しい領域へ踏み出す活動が進行中だ。
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主な研究内容
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主な研究内容
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主な研究内容
植物や生物と環境との関係を解明し
生態系や生物多様性を守っていく。
総合研究院 生物環境イノベーション研究部門
先進工学部 生命システム工学科
宮川信一准教授
総合研究院 生物環境イノベーション研究部門
理工学部 応用生物科学科
坂本卓也講師
2023年03月27日