2024.01.17
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長万部キャンパスで、1年次の全員が取り組む学科のコアとなる授業。

経営学部国際デザイン経営学科1年次の学生たちが、北海道にある長万部キャンパスに住みながら、住民の方々と共に行う北欧流のデザイン思考プロジェクト。それが、『コ・デザインプロジェクト 』だ。飯島教授 は言う「デザイン思考とは、やっかいな問題から出発して、より良い未来の創出を支援する人工のものや仕組みを創りだす知的活動と捉えています。『コ・デザインプロジェクト』では、「問題」とか「解決」といった言葉は使わず、もやもやしたものを抱えている人々と共に悩み、より良い未来について構想し、その実現のために実践します」。また、鈴木講師によると「デザイン思考で大切なのは「問題」や「解決」ではなく、対象に向かう姿勢や態度です。例えば、ある地域に行ってこれが問題だという態度を取るのは、あまり正しいとは言えません。人々と関わり合い、実践しながら、どういう態度が必要かを身につけていくことが大切です」。『コ・デザインプロジェクト』に確立した手法があるわけではないという。理科大オリジナルの取り組みがここでは進んでいる。

地域の人たちとの交流を通じて、共に構想する手法を学ぶ。

これから学生が街に行きます。というアナウンスが街に対して行われるわけではもちろんない。学生たちは、住民の方たちとの出会いに、苦労するのではないかと思うのだが、どうやらそんな心配は必要ないようだ。4人程度で構成された30以上のチームが「理科大+長万部+〇〇」というテーマ探しを行いながらプロジェクトを進めていく。偶然の出会いから始まる活動もあれば、先輩から継承した活動、自分たちの発案から関係づくりに奔走したものなどさまざま。鈴木講師は言う「積極的に学生たちが質問に行って、住民の方が積極的に対応してくれるというのも参加の一つです。でも、コ・デザインというのは、そこで話さなくても観察しているとか、一緒にその場にいるとか、そういうことも含めて共に考えることだと思っています」。当然、うまくいかないこともあるようだが、失敗を恐れず失敗から学ぶというのが、国際デザイン経営学科の一つのテーマになっているそうだ。

国際デザイン経営学科での4年間を支える基盤となる体験。

『コ・デザインプロジェクト 』は1年次の前期の間続く演習型の授業ではあるが、住民の方と未来を構想していく終わりのない活動でもある。前期の最後には、住民の方も招待して、それまでの活動の発表会が行われる。その一例を挙げると 、” 畜産業の課題に取り組むチームはメンバー全員が1週間、肉の摂取をやめることでリアリティをもって課 題 を 捉 え よ う と し た 〞、” ゴミ問題に取り組むチームはゴミアート展を提案し実際に自分たちでペットボトルのふたで作品 をつくった 〞な ど。そこには決定的なものがあるとは言いにくいが、確かな取り組みがある。飯島教授は言う「 学 生 にとってはイニシエーション(通過儀礼)であり 、これからやるべきことの動機づけにもなると思っています 」。学生は ま だ 1 年 次 で あ る 。で き た 経 験 、できなかった経験が、これからの学生生活に大きな違いをもたらしてくれることだろう。

経営学部 国際デザイン経営学科
鈴木美央 講師

■ 主な研究内容

専門分野は、都市計画、建築計画。特に人が集うマーケットに着目して研究。マーケットという小さな個の集合体が、街を変えていく様子に興味を持っている。

経営学部 国際デザイン経営学科
飯島淳一 教授

■ 主な研究内容

専門分野は、情報システム、システム理論。コミュニケーション的行為という観点から企業における調整行為を捉える研究やデザイン経営についての研究を行っている。

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