カーボンナノチューブは、20世紀後半に発見された炭素の同素体であり、今も注目を集め続ける新素材だ。注目される理由は、炭素の「多様な構造を持つ性質」にある。ダイヤモンドも黒鉛も炭素で、水を除くと人間の体の約半分が炭素でできている。山本教授は言う「炭素物質の魅力は変幻自在に形を変えられるところだと思います。硬くなったり軟らかくなるというのが生命の根源になり得た理由でしょう」。「構造的に見ても、1本の分子がどのように並ぶのかで性質が変わってきます。カーボンナノチューブも、分子の並び方次第で硬さとか電気的な性質が変わってきます」と中嶋准教授。つまり、ナノスケールでの構造をエンジニアリングすることで、必要なエネルギーデバイスなどを生み出そうというのがナノカーボン研究部門なのだ。
カーボンナノチューブなどのナノカーボンからエネルギーをつくり出す。それが共同研究の主要なテーマだ。ナノカーボンには、温度差が生じると電気が流れるものがある。「体温、電気製品の発熱、熱配管など、これまで放っておいたエネルギーを電気に変えることができます」と山本教授。そこでできた電気を使ってセンサーを動かし、センサーが掴んだ情報をコンピュータに送る。つまり、そうしたデバイスをつくリ、社会の中に置くことで、電源のない場所やものから情報を集めることが可能になるのだ。そのときに重要なのが、ナノカーボンの軟らかさ。軟らかいからこそ、荷物や皮膚に貼ったり、薄く伸ばして敷いたりもできるというわけだ。共同研究には、先生方の研究室の学生たちも参加していて教育的な効果も高い。少し違った研究をしている学生同士のディスカッションでは貴重な気付きを得ることができ、別の研究室の先生に指導を受けるということも大きな刺激になっているようだ。
エネルギーデバイスの利用方法についても研究は進んでいる。それが地震による建築物破損診断システムの創造だ。山本教授は言う「地震が起きたときに壁の中の柱が折れて、地震の第2波がきて家が倒壊する。そういう被害を防ぎたいと思います。地震で停電した後でも、揺れや、揺れによる構造物の発熱から電力を得て、センサーで状況を把握して無線で伝えるといったシステムです」。電気を自前でつくる発想と技術が、暮らしを変えようとしている一例だ。カーボンナノチューブによる発電は、火力発電などに取って代わるものではない。しかし、小さなものかというとそうでもない。「第2の産業革命になる可能性もあると思っています。あらゆるものが電気を自給自足するサスティナブルなエネルギー革命です」と山本教授。これまで考えられなかった場所で発電と情報発信が可能になり、それがビッグデータとして活用される社会が始まりつつある。
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主な研究内容
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主な研究内容
複数個体の脳活動に注目し、
集団形成のプロセスを明らかにする。
総合研究院 パラレル脳センシング技術研究部門
創域理工学部 機械航空宇宙工学科
竹村裕教授
総合研究院 パラレル脳センシング技術研究部門
先進工学部 生命システム工学科
瀬木恵里教授
2023年04月07日