神楽坂キャンパスで法学関係の教養科目を担当しています。法は法律家だけのものではなく、すべての人にとって学ぶ意義があるものだと信じています。法の知識を身に付けることは、社会を理解することを意味し、「法的思考」を磨くことは、複雑な問題の論点を明らかにし、対立する主張にも耳を傾けた上で、最善の解決を図ろうとする総合的な判断力を身につけることに繋がります。さらには法を貫く精神を学ぶことで、市民性が涵養され、自身の専門性を客観的に見る目も養われていくと思います。これらのことに加え、特に理系の学生には、科学だけでなく人というものについて考えるきっかけにもなって欲しいと思っています。法学を学ぶことで、生命倫理、環境問題、人工知能など複数の学問を統合して考えていくべき分野について、理系の視点に加えて法学的なアプローチができるようになり、理系分野の思考方法を相対化できるようになると考えます。科学技術を社会実装していく時に、倫理的・法的・社会的課題も含めて考えるELSI(エルシー)という考え方も広まってきました。科学的な技術や知識とともに、法を含めた広い教養を身に付けることが今後ますます必要になっていくはずです。
教養として法学を学ぶ授業では、法は常に「誰か」にとって身近な問題であることを伝え、その「誰か」のために「あるべき姿を一緒に考えよう」と思ってもらえるようにしています。なので、学生たちが実際に体験する身の回りのことを事例として扱うだけでなく、まだ体験していないことについても想像できるように、働きかけをしています。 このような授業の方法に加えて、教養として法学を学んでいくためのカリキュラムにも配慮しています。私の所属する神楽坂キャンパスでは、1~2年生を対象として、法学の概論的な科目である『社会と法』を開講し、法学に関する基礎的な知識を学んでもらいます。2~4年生を対象とした次の段階の科目としては、『法の現代的課題』と『法の歴史と思想』という科目を用意しています。前者は、AIによる犯罪予測とその課題、オンライン裁判の是非、先端医療と法の関わりなど、現代における様々な課題と法を結びつけて考える科目で、後者は「法とはなんだろうか」ということを哲学や歴史学など複数の科目と有機的に関連づけて突き詰めていく科目です。さらに法学に深い興味を持つ学生向けに、それぞれの学生が自ら決めたテーマについて調査し、思考し、発表をする『法と科学ゼミ』を開講しています。また、教職課程の必修科目である『日本国憲法』も担当しています。
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主な担当・研究内容
教育であり、研究であり、学内外が交流する活動でもある。
新しい領域を創造するための創域の芽プロジェクト。
『数理科学科ダブルラボの発展』
創域理工学部 数理科学科 牛島 健夫 教授
創域理工学部 数理科学科 青木 宏樹 教授
創域理工学部 情報計算科学科 宮本 暢子 教授
『機電材料系学科・専攻を超えた学生間による企業研究』
創域理工学部 電気電子情報工学科
永田 肇 教授
『野田キャンパス理窓会記念自然公園における環境教育』
創域理工学部 経営システム工学科
伊髙 静 講師
2024年06月10日