理窓会記念自然公園(以下、理窓公園)は、東京物理学講習所(現東京理科大学)の創立100周年の記念行事として、元からあった谷津と呼ばれる湿地や里山を利用してつくられた自然公園です。雑木林・ヨシ原・池・湧き水・水路・湿地・乾燥地など多様な環境が残されており、こうした豊かな自然は首都圏ではなかなか見ることができません。環境保全サークルRiSO Rangerは、理窓公園内の広い湿地を中心に活動してきました。水路や池の整備、草刈りをはじめ、水生生物や植物を毎年2回、継続的に調査。また、自分たちで造成した水田で、無農薬・無肥料で稲作を行っています。地元の自然保護団体と連携して公園内にホタルを放ったり、地元の自治体の生物多様性モニタリング調査などにも参加しています。こうした活動の結果、準絶滅危惧植物タコノアシなどが復活するなど、自然公園内の生物多様性が豊かになりつつあります。理窓公園の環境保全や生物多様性の充実が社会的にも認められ、2018年、東京理科大学野田キャンパスの日本生態系協会賞の受賞に中心的な役割を果たしました。
環境保全サークルRiSO Ranger の部員は現在85名。今年は56名の新入部員を迎えた人気サークルになっています。コロナ禍での自粛生活でなかなか外出ができなかった自然好きな学生たちにとって、理窓公園はワクワクできる場所です。サークルの将来的な目標として、コウノトリが営巣をしてくれることを夢見て、そのために必要な環境を整える活動を続けています。コウノトリは生物多様性のシンボルである大きな鳥で、野田キャンパスの近くで、野田市が自然復帰のプロジェクトを進めています。コウノトリが自然の中で生きていくためには、餌となる水生生物がたくさんいる湿地が必要で、理窓公園の中の湿地が貢献できればと考えています。都市化の中で失われつつある里山の自然環境を守り、充実させる活動を行なっていくことはもちろんですが、その素晴らしさを学生や市民の方にも伝えていきたいと思っています。今年は3年ぶりに対面での理大祭が復活しました。サイエンス夢工房に参加し、理窓公園自然観察ツアーを復活させて、ひとりでも多くの人に理窓公園とその自然環境を実際に見て感じてもらいたいです。
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主な活動内容
教育であり、研究であり、学内外が交流する活動でもある。
新しい領域を創造するための創域の芽プロジェクト。
『数理科学科ダブルラボの発展』
創域理工学部 数理科学科 牛島 健夫 教授
創域理工学部 数理科学科 青木 宏樹 教授
創域理工学部 情報計算科学科 宮本 暢子 教授
『機電材料系学科・専攻を超えた学生間による企業研究』
創域理工学部 電気電子情報工学科
永田 肇 教授
『野田キャンパス理窓会記念自然公園における環境教育』
創域理工学部 経営システム工学科
伊髙 静 講師
2024年06月10日