理科大の薬学部薬学科(6年制)では、毎年、多くの学生が薬剤師国家試験に合格している。その理由は、化学・物理・生物といった基礎科学の徹底から始まり、身体や病気、薬の構造や作用を深く理解し、薬剤師業務の実践を通して知識と技能を磨くという、国家試験の合格に直結する体系的なカリキュラムにある。すなわち、理科大の薬学は、身体・病気などの生命科学と薬の作用を科学的視点で根本から探究する学びである。この科学的探究の姿勢こそが、国家試験における高い成果を支えている。薬剤師国家試験は、4年次末に行われる薬学共用試験(CBT・OSCE)に合格し、5年次に病院・薬局での実務実習を修了することが必要である。理科大ではこの過程を通じて、一人ひとりの学生の学問的理解と実務能力を確実に高めていく。そして薬学科の最終的な目標は、豊かな人間性と高い専門性を持ち、さまざまな問題を研究に結びつけることのできる能力を兼ね備えた薬剤師の育成にある。

薬剤師を目指す4年生が必ず履修する科目が「医療薬学実習」である。この実習では、薬剤師の基本的な知識、技能、態度を学生に教育することを目的としている。さらに、この実習は5年次に実際の病院と薬局で行う実務実習(病院実務実習11週、薬局実務実習11週)に臨むための事前準備の実習と位置づけられている。真野教授は言う「学生が実務実習で臨床現場に行ったら、薬剤師として必要な知識量に圧倒されます。薬学的視点を持って患者さんの問題点を抽出し、薬剤師として何をするべきか考える必要があります。この薬は適正か。適正ではない場合、医師に相談し、どう変更するのか。変更したら、有効性を確認し、副作用も確認しなくてはいけない。そうしたことの準備をする科目のひとつが、この医療薬学実習です」。また、5年次の実務実習に参加するには、4年次末に全国の薬科大学、薬学部で行われる薬学共用試験に合格する必要があるが、とりわけOSCE(客観的臨床能力試験)で求められる技能・態度を身に付ける上でも、この実習は大きな意味を持つ。

「医療薬学実習」は、4年次後期の多くの時間を費やし、大学内の実習施設で行われる。午後のコマのほとんどを使い、処方箋と調剤、調剤監査、疑義照会、無菌操作の実践、コミュニケーション、フィジカルアセスメントなどの実習に取り組む。そこでは、調剤実習(粉薬、水薬、軟膏)に加え、高カロリー輸液の調製や注射剤の混合をクリーンベンチを用いて行うなど、より高度な技術も扱う。また、薬局の窓口や病室など、さまざまな状況でのコミ二ュニケーション実習にも多くの時間をかける。真野教授は言う「薬を扱う実習が大切なのは言うまでもありませんが、薬剤師には患者さんとのコミュニケーションが特に大事です。薬局に処方箋を持ってきた患者さんへの対応、病棟の入院患者への対応、市販薬の販売を想定、というように、いろいろな場面を模擬患者さんにも参加してもらい練習します」。「医療薬学実習」の1日目に、真野教授がいつも話す言葉がある。「白衣を着たら、患者さんは学生なのか薬剤師なのか分からない。実習で白衣を着たら、もう薬剤師の心構えでいてください」。それは、実習ではなく、薬剤師としての実践が始まる合図である。
■ 主な研究内容