「自分の考え方ひとつで、幸せにも不幸にもなれることを意識してほしい」
異常気象による災害や頻発する地震、超高齢化など、先の見えないこの時代、保険を頼る人は少なくない。西ケ谷さんが代表を務める三井住友トラスト・ライフパートナーズ株式会社は、損害保険や生命保険など、1つの保険会社ではなく、たくさんの会社の商品を取り扱う乗合代理店だ。西ケ谷さんは、立場上お客さまと接する機会は少なく、経営者として、会社の成長のために日々奮闘している。中でも、保険と真摯に向き合う社員たちの成長は、何よりも嬉しいという。
新卒で、当時の住友信託銀行に総合職として入行した西ケ谷さんは、これまで 13回の転勤を経験し、銀行、信託等の多岐にわたる業務を担当してきた。2005年には 39歳の若さで、支店長にも抜擢された。しかし、すべてが順調だったわけではない。過去に大きな転機が3度あったという。花形業務のファンドマネージャーから異動を命じられた時、支店長になった8年後、内部監査部へ異動を命じられた時。そして、再び支店長として成績改善を求められた中、業績不振が続いた時だ。「当時は深く落ち込み、家で一人泣くこともありました。ですが、失敗や嫌だと思ったときこそ、毎回、気づきや学びがあり、成長と満足を感じることができました。周囲とのやりとりの中で、新たな自分を発見し、前向きに行動できたことは、一緒に働いた人たちのおかげであり感謝しています。この3度の転換点は私の人生の宝です。この困難に直面した時に回復する力(=レジリエンス)こそ、私が今でもとても大事にしているマインドです」と話す。
大学時代は、洪水・熱波・干ばつなど滅多に起こらない異常気象を扱う「極値統計学」を学んでいたという西ケ谷さんは、自らを劣等生だったと振り返る。「学生時代にもっと勉強していればと、後悔しています。だからこそ、皆さんにはまずは、勉強を頑張ってほしいです。それから、自分の考え方ひとつで、幸せにも不幸にもなれることを意識してほしいです。成功することで幸せを感じるのではなく、幸せだと思えることを継続することが、結果として自分や周りの成功につながるのだと思います」。荒波を乗り越えてきた西ケ谷さんからのエールは、苦境に立たされたときに、自分を奮い立たせてくれる、何よりの保険になるのかもしれない。
