※内容は「東京理科大学報」 vol.234 掲載時のものです。

人生100年時代といわれる今、保険を通して、自然災害や年金問題など、社会課題解決の一翼を担う。

経営者として、会社の成長のために日々奮闘
三井住友トラスト・ライフパートナーズ株式会社 取締役社長
三井住友信託銀行 執行役員

西ケ谷 ゆう子さん

三井住友トラスト・ライフパートナーズ株式会社 取締役社長
三井住友信託銀行 執行役員
1989年3月 東京理科大学理工学部情報科学科卒業。同年4月三井住友信託銀行(旧住友信託銀行)に入行。法人営業、支店長、本部長などを経て、2021年三井住友信託銀行執行役員に。2022年4月 関連会社である三井住友トラスト・ライフパートナーズ株式会社に出向。取締役社長に就任。三井住友信託銀行執行役員と兼務。

「自分の考え方ひとつで、幸せにも不幸にもなれることを意識してほしい」

異常気象による災害や頻発する地震、超高齢化など、先の見えないこの時代、保険を頼る人は少なくない。西ケ谷さんが代表を務める三井住友トラスト・ライフパートナーズ株式会社は、損害保険や生命保険など、1つの保険会社ではなく、たくさんの会社の商品を取り扱う乗合代理店だ。西ケ谷さんは、立場上お客さまと接する機会は少なく、経営者として、会社の成長のために日々奮闘している。中でも、保険と真摯に向き合う社員たちの成長は、何よりも嬉しいという。

新卒で、当時の住友信託銀行に総合職として入行した西ケ谷さんは、これまで 13回の転勤を経験し、銀行、信託等の多岐にわたる業務を担当してきた。2005年には 39歳の若さで、支店長にも抜擢された。しかし、すべてが順調だったわけではない。過去に大きな転機が3度あったという。花形業務のファンドマネージャーから異動を命じられた時、支店長になった8年後、内部監査部へ異動を命じられた時。そして、再び支店長として成績改善を求められた中、業績不振が続いた時だ。「当時は深く落ち込み、家で一人泣くこともありました。ですが、失敗や嫌だと思ったときこそ、毎回、気づきや学びがあり、成長と満足を感じることができました。周囲とのやりとりの中で、新たな自分を発見し、前向きに行動できたことは、一緒に働いた人たちのおかげであり感謝しています。この3度の転換点は私の人生の宝です。この困難に直面した時に回復する力(=レジリエンス)こそ、私が今でもとても大事にしているマインドです」と話す。

大学時代は、洪水・熱波・干ばつなど滅多に起こらない異常気象を扱う「極値統計学」を学んでいたという西ケ谷さんは、自らを劣等生だったと振り返る。「学生時代にもっと勉強していればと、後悔しています。だからこそ、皆さんにはまずは、勉強を頑張ってほしいです。それから、自分の考え方ひとつで、幸せにも不幸にもなれることを意識してほしいです。成功することで幸せを感じるのではなく、幸せだと思えることを継続することが、結果として自分や周りの成功につながるのだと思います」。荒波を乗り越えてきた西ケ谷さんからのエールは、苦境に立たされたときに、自分を奮い立たせてくれる、何よりの保険になるのかもしれない。

社会やお客さまの課題解決の役に立つことが企業としての存在意義だという。